交響曲第39番 (ミヒャエル・ハイドン)

交響曲第39番 ハ長調 MH 478, P 31

ミヒャエル・ハイドンによって1788年に作曲された交響曲第39番は、彼の作品の中でも特に注目すべき一曲です。この交響曲は、同年にザルツブルクで作曲された6つの交響曲の中で最後の作品でもあります。また、以前に作曲された『交響曲第28番 ハ長調』（MH 384, P 19）と同じく、最終楽章がフガートである点が特徴であり、音楽界の巨匠モーツァルトが同年に指揮した『交響曲第41番《ジュピター》』のフナーレのモデルにもなったと考えられています。

楽器編成

この交響曲に用いられる楽器は、一般的なオーケストラ編成に加え、特にホルンには興味深い工夫が施されています。具体的には、第1楽章と第3楽章において、ホルン奏者はC管の代わりにG管を使用することが指示されています。これはハイドンが特有の響きを追求しているためであり、再現部でのC管への変更は、作品全体の音色に多彩さを持たせる意図があります。

曲の構成

交響曲第39番は全3楽章から成り、演奏時間は約12分です。以下に各楽章の詳細を記述します。

第1楽章 アレグロ・コン・スピーリト

この楽章はハ長調で、4分の3拍子によるソナタ形式です。楽曲の冒頭ではホルンが強調され、その音色が聴き手の興味を引きます。また、特筆すべき点はホルンがG管で奏でられることです。これは、通常のC管とは異なる音色が生まれ、独特なイメージを膨らませています。楽章の中で展開されるメロディーは華やかで、力強いものです。

第2楽章 アンダンテ

続く第2楽章はト長調で、4分の2拍子による二部形式です。この楽章では、第1ホルンがE管のホルン、そして第2ホルンがD管のホルンを使用しています。これにより、豊かなハーモニーが生まれ、聴く者に穏やかな印象を与えます。メロディーの流れや和声が慎重に編纂されており、曲全体に洗練された雰囲気を醸し出しています。

第3楽章 フガート：モルト・ヴィヴァーチェ

この楽章は再びハ長調に戻り、2分の2拍子で書かれたフガート形式です。フーガとソナタ形式が融合した作りとなっており、音楽的な密度と複雑さが際立っています。前述のように、この楽章は『交響曲第28番』のフガートによるフィナーレと共に、『交響曲第41番《ジュピター》』の終楽章にインスパイアを与えたと言われています。音楽学者H.C.ロビンス・ランドンによると、モーツァルトはハイドンに最新のフーガを依頼しており、交響曲第41番を作曲する際には、この第39番を熱心に研究していたと考えられています。

このように、ハイドンの交響曲第39番は、独特な楽器編成と楽章構成によって、聴きごたえのある一曲に仕上げられています。多様な音色と洗練されたメロディが融合したこの作品は、ハイドンの音楽性を色濃く反映しており、誰もが聴く価値のある名作です。

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