京急サニーマート

京急サニーマート：横浜金沢区のショッピングモールとその変遷

1968年10月、神奈川県横浜市金沢区泥亀に開業した京急サニーマートは、住宅と商業施設を一体的に開発した大規模なショッピングモールでした。横浜市による都市計画事業の一環として、警察署や区役所、公務員住宅などを整備する文教地区に位置づけられ、京浜急行電鉄と関係各社の協力の下、建設されました。

当初はA棟、B棟、C棟の3棟からなり、国道16号線沿いにペデストリアンデッキで繋がる構造でした。京浜百貨店、東光ストア、京浜急行直営のドライブインレストラン「ローリエ」など、94のテナントが入居し、横浜市郊外から三浦半島にかけての広い地域から多くの買い物客を集めました。2階には623戸の公団住宅も併設されていました。

しかし、1970年代以降、金沢区には競合する大型商業施設が相次いで開業します。1972年のユニー金沢文庫店（現アピタ金沢文庫店）、1991年の金沢八景プランタン（現イオン金沢八景店）、2000年のイトーヨーカドー能見台店など、スーパーマーケットの激戦区と化していく中、京急サニーマートは時代の変化に対応すべく、1994年に大規模なリニューアルを実施しました。

リニューアルでは、3棟をそれぞれ「館」と改称し、A館に大型ホームセンター「京急ハウツ」、B館に京急ストア、C館にフードコートを配置しました。京急ハウツはDIY用品やペットショップ「ワンハウツ」などを展開し、地域最大級の規模を誇りました。このリニューアルは、京浜急行電鉄が小売業に本格的に参入する最初の試みでもありました。

しかし、時代の流れに対応しきれず、2018年にはC館がリニューアルのため一時閉鎖、2019年3月にはA館とB館が営業を終了しました。A館とB館は解体予定ですが、跡地利用は未定です。C館は飲食店を中心としたサニーマートとしてリニューアルオープンし、現在も営業を続けています。

京急ハウツは2019年3月に閉鎖されましたが、その後、京急ストア能見台店内に「生活雑貨館ハウツ」として移転オープンしています。ペット関連商品の販売は行っていません。

京急サニーマートは、時代の変化の中で、その形態を変えながら、地域社会に貢献してきました。その歴史は、日本の郊外型ショッピングモールの変遷を物語る貴重な事例と言えるでしょう。多くのテナントが入れ替わり、地域住民の生活スタイルの変化に合わせた対応が試みられましたが、最終的には競争の激しさの前に、大部分の施設が閉鎖される結果となりました。

かつて京急サニーマートに入居していた主なテナントには、京浜百貨店、肉の宝屋、小田薬局、ローリエ、同福飯店、ガオス、クロカワスポーツ、TSUTAYA、勝田書店、ひろしや、サニー飯店、小学館アカデミー、ヨシト動物病院、リンガーハット、サーティワンアイスクリーム、ダイソー、マクドナルド、紅龍小吃などがありました。これらの店舗の中には、現在も金沢区内や近隣地域で営業を続けるものもあります。

京急サニーマートのアクセスは、京急本線金沢文庫駅、金沢八景駅、京急逗子線金沢八景駅、金沢シーサイドライン金沢八景駅が最寄りです。バスを利用する場合は、「金沢区総合庁舎前」バス停が最寄となりますが、本数が少ないため注意が必要です。

京急サニーマートの歴史は、日本の高度経済成長期から現代までの社会変化を反映しており、商業施設の進化と衰退、そして地域社会との関わりを学ぶ上で貴重な事例となっています。

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