京王デハ1760形電車

京王デハ1760形電車は、京王帝都電鉄（現：京王電鉄）井の頭線で使用されていた通勤形電車です。この車両は、京王が東京急行電鉄（大東急）から分離した後、初めて井の頭線に投入された新型車両として、鉄道史にその名を刻んでいます。

概要

1950年、日本車輌製造によってデハ1761からデハ1763までの3両が製造されました。当時の井の頭線は、戦後の復興期にあたり、輸送力増強が急務でした。デハ1760形は、そのニーズに応えるべく設計され、製造されました。

車両構造

外観は、先に登場していたデハ1710形に準じた設計で、18m級の両運転台式車体を採用していました。窓配置はd1D4D4D1d（d：乗務員扉、D：客用扉）で、片開き3扉の非貫通型車体という特徴を持っていました。これは、当時の通勤形電車の標準的なスタイルであり、乗降の効率性を考慮したものでした。また、前面裾部にはアンチクライマーが設置されており、衝突時の安全性を高める工夫が凝らされていました。

昇圧と改造

1963年8月、京王線は架線電圧を600Vから1500Vに昇圧しました。これに伴い、デハ1760形の一部は、電動貨車デニ200形・デト210形や支線用中型車220系に機器を供出することになりました。具体的には、デハ1761とデハ1762が電装解除され、片側の運転台が撤去され、貫通化改造を受けました。そして、クハ1250形1258・1259に改番されました。一方、デハ1763は、引き続き増結用として使用されましたが、1969年には電装解除と両側の運転台撤去・貫通化改造が実施され、サハ1760形1763に形式が変更されました。

晩年と廃車

3両とも、1980年に廃車、解体されました。製造から約30年という比較的短い期間での引退となりましたが、その間、井の頭線の輸送を支え続けました。

諸元

形式: デハ1760形
自重: 39.5t
定員: 130名
全長: 18,130mm
製造初年度: 1950年
製造所: 日本車輌製造

京王デハ1760形電車は、短い生涯ではありましたが、京王井の頭線の歴史において重要な役割を果たした車両として、今もなお鉄道ファンに語り継がれています。

もう一度検索