京王競馬場線

京王電鉄競馬場線：東京競馬場へのアクセスを担うコンパクト路線

京王電鉄競馬場線は、東京都府中市にある東府中駅と府中競馬正門前駅を結ぶ、全長わずか0.9kmの鉄道路線です。路線記号はKO。その短い路線距離は、旅客鉄道路線としては非常に珍しい特徴と言えるでしょう。名前の通り、東京競馬場へのアクセスを主要な目的として建設されました。東府中駅周辺を除くほとんどの区間は府中市八幡町に位置し、武蔵国府八幡宮の参道を横切るなど、地域に密着した路線となっています。

路線データと歴史

競馬場線は1955年4月29日に開業しました。その後、1963年には架線電圧を1500Vに昇圧、1999年には平日の線内折り返し列車でワンマン運転を開始するなど、時代に合わせて変化を遂げてきました。2011年にはATCを採用し、運行の安全性と効率性を向上させています。近年では、臨時特急や準特急の運転も行われていましたが、運行形態は変更されています。

運転形態と車両

競馬場線の運転形態は、平日と土休日、そして東京競馬開催日で大きく異なります。通常時は、1時間あたりの運行本数は平日朝ラッシュ時で4～6本、日中や夜間は3本程度です。終電も京王電鉄の路線の中で最も早い時間帯となっています。

平日の日中は、車掌が乗務しないワンマン運転が基本です。これは、車内での運賃収受を行う都市型ワンマンシステムです。主に2両編成の7000系ワンマン改造車が使用されますが、車両の都合などで8両編成や非ワンマン車での代走が行われる場合は、車掌が乗務します。

使用車両は7000系、8000系、9000系、そして東京競馬開催時には10両編成の5000系などが運用されています。特に東京競馬開催時には、多くの臨時列車が運行され、ダイヤが大幅に変更されます。様々な編成の車両が使用され、混雑対策が図られています。過去の車両としては、デハ2400形、220系、デハ1710形、2600系、6000系、10-000形、10-300R形、10-300形などが挙げられます。

東京競馬開催時の運行

東京競馬開催日には、通常ダイヤとは大きく異なる運行形態となります。1時間あたり6本（約8～12分間隔）に増発され、朝9時台から夕方17時台半ばまで運行されます。東府中駅には、京王線からの臨時特急が停車し、競馬場線との接続がスムーズに行われるよう工夫されています。

臨時特急や臨時急行も運行され、10両編成の車両が多く使用されます。これらの臨時列車は、競馬場へのアクセスを円滑にするだけでなく、競馬開催日の賑わいを象徴する存在となっています。過去には、東京優駿（日本ダービー）や天皇賞（秋）、ジャパンカップ開催時などには、さらに臨時列車が増発されていました。近年は、新型コロナウイルス感染症の影響で臨時列車の運転が中止されていましたが、現在は再開されています。

駅一覧とその他

競馬場線には、東府中駅と府中競馬正門前駅の2駅しかありません。全駅が東京都府中市内に位置しています。駅番号は2013年2月22日から順次導入されました。

府中市と京王電鉄は積極的にロケーションサービスを提供しており、競馬場線は映画やテレビドラマ、CMなどの撮影場所として頻繁に利用されています。特に府中競馬正門前駅の広いホームは、撮影に最適な環境を提供しています。

過去の運転状況

競馬場線の運行形態は、開業以来様々な変更を経てきました。過去の運行状況を振り返ると、路線の変遷と時代の流れを垣間見ることができます。例えば、1999年までは朝のラッシュ時に新宿行きの各駅停車が運転されていたり、2001年までは京王線新宿方面からの直通急行列車が設定されていたりしました。

このように、京王電鉄競馬場線は、東京競馬場へのアクセスという特異な目的を持つ路線でありながら、地域に密着し、時代に合わせて変化を続ける、魅力的な路線と言えるでしょう。コンパクトな路線ながらも、その歴史や運行形態、そして撮影場所としての利用など、多くの見どころがあります。

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