京王1000系電車 (初代)

京王1000系電車

京王1000系電車は、京王帝都電鉄（現：京王電鉄）井の頭線で使用されていた通勤形電車です。1957年に登場し、井の頭線初の高性能車として活躍しました。

基本データ

形式: デハ1000形・デハ1050形
製造初年度: 1957年
製造事業者: 東急車輛製造
車体全長: 18m
主電動機: TDK823/1-B 75kW → 90kW（5両化時）
台車: TS-307、TS-307A
制御装置: 東洋電機製 ES-564-A
駆動方式: 平行カルダン駆動
歯車比: 84:11 = 1:7.64

概要

京王1000系は、京王2000系の井の頭線版として開発されました。当時の私鉄高性能車としては標準的な75kWの主電動機を搭載しています。編成は、吉祥寺方のデハ1000形と渋谷方のデハ1050形で構成され、デハ1000形に制御装置とパンタグラフ、デハ1050形に補器類が搭載されていました。

外観

18m車体で、正面は二枚窓の湘南スタイルを採用。ライトグリーンに塗装され、「グリーン車」の愛称で親しまれました。前照灯は当初大型白熱灯1灯でしたが、後にシールドビーム2灯に交換されました。客用扉は片開き3扉（d1D3D3D2）です。

初期に製造された9両は、京王2000系の車幅を拡大し、アンチクライマーを装備したような外観でした。後期に製造された3両は、2010系後期車の車幅拡幅版に近いイメージでした。正面行先表示は差込式で、後に車掌台側室内差込式に変更されました。デハ1003とデハ1054は、従来の板受け枠が撤去されています。

京王全体として、1000系と2000系の登場により新車のデザインはほぼ統一されました。しかし、次世代車である井の頭線3000系と京王線初代5000系では、デザインに独自の進化が見られ、その後の井の頭線と京王線では異なる意匠の車両が採用され続けています。

歴史

1957年: デハ1000形1001～1006、デハ1050形1051～1053を製造。1051-1001+1004、1052-1002+1005、1053-1003+1006の編成で運用を開始。1051-1001～1053-1003はMMユニット、1004～1006は単Mでした。
1961年: デハ1050形1054～1056を増備。2+2の4両編成となります。この3両には正面のアンチクライマーがありません。
1969年: 中間に組み込まれていたデハ1000形の偶数番号車とデハ1050形の奇数番号車を中間車化改造し、4両貫通編成となりました。
1975年: サハ1300形1303～1305が組み込まれ、4M1Tの5両編成となりました。
1984年3月: 3000系の増備に伴い廃車。引退時にはさよなら運転が行われました。台車・主電動機は2010系の車体と組み合わされ、伊予鉄道800系に流用されています。

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