京都フローラ

京都フローラ（KYOTO Flora）は、かつて日本女子プロ野球機構に所属していたプロフェッショナル球団です。関西地方を活動拠点とし、2013年から2021年にかけてリーグ戦を戦いました。そのルーツは、リーグが設立された当初からのチームである京都アストドリームスに遡ります。

前身・京都アストドリームス時代（2010年～2012年）

京都アストドリームスは、2009年12月に開催された日本女子プロ野球機構の第1回ドラフト会議と同時にチーム名が公表されました。「今日と明日の夢に向かって歩み続け、真のアスリートへ成長する」という願いがチーム名に込められていました。所属選手は全員が京都仏眼医療専門学校の夜間課程に通学しながらプレーに励んでいました。

リーグ参入初年度の2010年は、ドラフトでの指名運にも恵まれず、もう1球団の兵庫スイングスマイリーズと比較して戦力的な劣勢が否めませんでした。開幕から連敗を重ねるなど苦戦が続き、前期・後期ともに最下位（当時リーグは2チームのため2位）に終わります。投手陣が特に課題となり、野手登録の選手がマウンドに立つ場面も見られましたが、野手では後に中心選手となる川端友紀が首位打者、三浦伊織が打率2位となるなど、明るい兆しも見えました。

翌2011年は、リーグ主導による戦力均衡策が進められ、国際大会経験者の宮原臣佳が加入し、兵庫との間で選手交換も実施されました。監督には大阪近鉄バファローズで指揮を執った佐々木恭介氏が就任。即戦力として期待された選手の誤算もありましたが、荒井蛍が最優秀防御率、ルーキーの塩谷千晶が最多セーブと新人王を獲得するなど、投手力に改善が見られました。川端友紀は2年連続で首位打者、最高出塁率を獲得し、リーグ史上初の4割打者（打率.406）を記録しました。この年に始まった女子野球ジャパンカップでは抽選で敗退。シーズンオフには3球団目の設立に伴い、主力選手が移籍しました。

2012年シーズンは、打線が好調を維持し、投手陣も前年タイトルを獲得した荒井、2年目の宮原、新加入の半田渚らが機能し始めました。主将の河本悠が抑えを務めるなど、チーム全体のバランスが向上。他チームと比較して経験豊富な選手が多いことも優位に働き、前期は独走で念願の初優勝を飾ります。後期は終盤に追い上げを見せ首位に立ちますが、最終盤の試合を落とし後期最下位。年間優勝をかけた総合優勝決定戦でも大阪ブレイビーハニーズに逆転サヨナラ負けを喫し、年間タイトルには手が届きませんでした。ジャパンカップも決勝で敗退。年間勝率はリーグ最高でしたが、前期優勝に留まりました。個人タイトルでは、三浦伊織が首位打者・最多安打・盗塁王の3冠、大倉三佳が打点王、河本悠が最多セーブを獲得するなど、打撃陣を中心に躍動しました。

リーグ再編・ウエスト・フローラ時代（2013年～2014年）

2013年、リーグは従来の3チームから東日本・西日本それぞれ2チームずつの計4チーム体制へと再編されました。この時、京都アストドリームスの後継球団として「ウエスト・フローラ」が誕生します。チーム構成は旧大阪からの選手が最も多く、旧京都からの選手は河本、三浦、荒井、松本のみという形でのスタートとなりました。監督には前年兵庫を率いた松村豊司氏、選手兼任コーチに河本、主将には旧大阪のエース小西美加が就任。打線は三浦や中村茜を中心に計算が立ちましたが、投手陣は選手層が薄く、若い投手が多くの登板機会を得ました。シーズン中に選手のトレードも行われ、チーム編成も流動的でした。ティアラカップでは中盤に優勝を重ねましたが、年間女王決定戦ではイースト・アストライアに大敗し、年間女王獲得はなりませんでした。ジャパンカップも準決勝で敗退。個人タイトルでは三浦伊織が最多安打と盗塁王、ルーキーの矢野みなみが新人王を獲得しました。三浦は打率.407を記録しましたが、これを上回る打率の選手がいたため首位打者は逃しました。シーズン終了後には河本、松本ら複数の選手が引退しました。

2014年シーズンは、前年から残った9選手に新加入選手を加え、13名で戦うことになりました。監督は松村氏が続投し、前年に引退した新原千恵氏がコーチに、小西美加が選手兼任コーチとなります。キャプテンは三浦伊織が務めました。この年から東西地区制が導入され、ウエスト・フローラは西地区に所属。前期・後期ともに優勝を果たし、リーグ戦で圧倒的な強さを見せます。年間女王決定戦でもイースト・アストライアを連破し、チームとして、そしてウエスト・フローラとして初の【年間女王】の栄冠を掴みました。この年は個人タイトルも多数獲得し、三浦伊織がMVPと首位打者を含む打撃主要部門で多くのタイトルを、矢野みなみが最多勝、最優秀防御率を獲得するなど、投打の柱がチームを牽引しました。

本拠地復活・京都フローラ時代（2015年～2021年）

2015年からは、明確なホームタウン地域として京都府京都市を主本拠地とし、チーム名も「京都フローラ」へと改め、再スタートを切りました。この年もリーグ戦で前期・後期ともに優勝を果たし、年間順位でも1位となります。年間女王決定戦では埼玉アストライアとの対戦となり、アドバンテージの1勝を含め、2勝1敗で勝利し、2年連続となる【年間女王】に輝きました。植村美奈子が投手部門のMVPと最多勝、三浦伊織が最多盗塁、塩谷千晶が最多セーブを獲得するなど、投打ともに充実していました。

2016年はリーグ戦で前期・後期ともに2位となり、年間順位も2位。年間女王決定戦では兵庫ディオーネに敗れ、3連覇はなりませんでした。この年も三浦伊織が最多盗塁を獲得し、小西美加が最多奪三振のタイトルを獲得。小西つどいが二年連続で二塁手としてベストナイン、ゴールデングラブに選出されました。

2017年はリーグ3位に留まりますが、三浦伊織は最多盗塁、ベストナイン、ゴールデングラブを獲得するなど、依然としてチームの中心として活躍しました。

2018年はリーグ戦で再び優勝を果たしますが、年間女王決定戦では愛知ディオーネに敗れ、年間女王には届きませんでした。しかし、岩谷美里と三浦伊織が揃ってMVPに輝き、三浦は首位打者を含む打撃主要タイトルを複数獲得、岩谷も打点王と最多安打を獲得するなど、強力打線がチームを牽引。投手陣では小西美加が最優秀防御率と最多セーブの2冠、ルーキーの村松珠希が新人王に輝くなど、投打ともに選手が躍動したシーズンとなりました。

2019年は春季・夏季リーグを制し、リーグ最高勝率を記録。年間女王決定戦は台風の影響で中止となりましたが、規定により【年間女王】に認定され、3度目の栄冠を手にしました。三浦伊織が2年連続MVPと打撃タイトルの多くを獲得、村松珠希や岩谷美里も打撃タイトルを獲得。投手陣では植村美奈子と小西美加が最多勝、森若菜が最多セーブを獲得するなど、投打にバランスの取れた強さを見せました。

2020年はリーグ3位となり、年間タイトル獲得はなりませんでした。

そして2021年、日本女子プロ野球機構における選手の活動が大幅に縮小し、京都フローラ所属選手の全員が退団することになったため、シーズンの開催は中止となりました。これにより、京都フローラはその歴史に幕を閉じました。

京都フローラおよびその前身球団は、活動期間中にリーグ戦優勝4回、年間女王決定戦優勝3回、女子野球ジャパンカップ優勝2回という輝かしい成績を残しました。特に三浦伊織は、チームの中心選手として長年にわたり活躍し、数々のタイトルを獲得しました。多くの選手の努力と活躍によって、女子プロ野球において確固たる存在感を示したチームでした。

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