京都市中央斎場

京都市中央斎場：近代的な火葬施設と円滑な葬儀運営

京都市中央斎場は、京都府京都市山科区に位置する、京都市が運営する近代的な火葬場です。本稿では、その歴史、施設、設備、そして利用者へのサービスについて詳しく解説します。

歴史：老朽化からの更新と近代化

1931年以前は、浄土真宗大谷派と本願寺派がそれぞれ運営する火葬場が京都市に存在していました。その後、京都市が山科地区を編入した際にこれらの火葬場を譲渡受け、全面改築の上で市営花山火葬場として1932年に操業を開始しました。しかし、長年の使用による老朽化が深刻化したため、1977年に操業を停止。翌年から改築工事が行われました。

改築工事中は、同じく老朽化した市営蓮華谷火葬場（京都市北区）の旧施設を仮設施設として利用。1981年3月まで使用された後、同年4月、現在の京都市中央斎場として新たな施設が完成し、操業を再開しました。蓮華谷火葬場の旧施設は中央斎場分場として維持されましたが、2016年5月、施設老朽化と中央斎場改修完了後の代替施設としての必要性の低下により廃止されました。

施設：充実した設備と快適な空間

京都市中央斎場は、本館、別館、第二別館から構成されています。

本館は、関西で唯一、24基のロストル式火葬炉を備えています。ロストル式は効率的な火葬を可能にする一方、冷却のための予備室が通常は設置されていませんが、本斎場では各炉に予備室が設置され、遺族の心情に配慮した設計がなされています。炉前ホール4室、告別ホール4室、収骨室5室が併設され、同時に多くの葬儀に対応できます。1日最大120件の火葬処理能力を有し、京都市全域だけでなく、周辺自治体（宇治市と亀岡市を除く）からの火葬依頼にも対応しています。

別館には、広々とした待合室（304人収容）、喫茶室（74人収容）、事務室が設けられています。遺族が落ち着いた雰囲気の中で待つことができるよう、快適な空間づくりが工夫されています。

第二別館には、胎児用火葬炉1基、動物用火葬炉2基（台車式）、告別ホール1室があります。様々なニーズに対応できるよう配慮されています。

また、駐車場は120台収容可能です。

利用料金と流れ

利用料金は、年齢と市民・市民外で異なります。平成29年4月1日時点の料金は、10歳以上で市民20,000円、市民外100,000円、0歳以上10歳未満で市民13,000円、市民外74,000円、胎児で市民5,000円、市民外38,000円です。

葬儀の流れは、葬儀業者による受付申請から始まります。その後、受付担当者から指示を受け、遺族は指定された告別ホールで最後のお別れをします。希望に応じて、京都仏教会から派遣された僧侶による読経も依頼できます（お布施1,500円）。焼香の後、棺は火葬炉へ搬入され、火葬が行われます。ロストル式火葬炉の採用により、火葬時間は約50分と短縮されています。

まとめ

京都市中央斎場は、長年の歴史と改良を経て、近代的で効率的な火葬施設となっています。設備の充実だけでなく、遺族への細やかな配慮が随所に感じられる、利用者にとって優しい空間です。京都における葬儀文化を支える重要な施設として、今後もその役割を果たしていくことでしょう。

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