京都市交通局2000形電車

京都市交通局2000形電車について

京都市交通局2000形電車は、1964年から1965年にかけて新造された路面電車車両であり、京都市交通局（市電）に在籍していましたが、1977年に全車廃車となりました。一部の車両は伊予鉄道に譲渡され、同社のモハ2000形電車として運用されています。本記事では、京都市交通局での使用状況や、伊予鉄道に譲渡された後の変遷について詳細に述べていきます。

概要

この電車は、中型車として設計され、ラッシュ時には連結運転、閑散時にはワンマン運転に対応可能な柔軟性が求められました。ナニワ工機（後のアルナ車両）で製造され、最初の6両が導入されたのは1964年のことです。特に、1965年に新造された車両群は、市電用として最後の新造車両となりました。

導入背景

当時、京都市内の公共交通は市電が主軸でしたが、交通量の急増が課題でした。市中心部の地下鉄整備が進まず、市電の利用が増加していたため、特に朝の通勤時間帯においては、急行運転などの取り組みが行われました。これにより、既存のサービスを最適化するには不十分なことが明らかとなり、新車の導入が強く求められるようになりました。この背景から、ラッシュ時に接続可能な連結運転を行う新型車両の設計が決定されました。

車体設計

2000形電車は、全溶接の鋼製車体を使用し、ノーシル・ノーヘッダー構造により近代的な外観を実現しました。車体の長さは約11,300mm、幅は2,390mmであり、側窓は72の形状をされているため、必要な換気が可能です。また、運転台の妻面には2段式の方向幕を取り付け、運行サービスの情報を簡便に表示できるようにしています。特に、夜間の運営においてはシールドビームを設置し、旧来の車両との識別が容易になるよう工夫されています。

機器構成

主電動機にはSS-60が搭載され、台車には日立製作所のKL-11が採用されています。これまでの車両と同様に、コイルばねによる支持構造が強化されています。加えて、連結運転を行うための制御装置には、日本車輌製造の間接制御器が搭載され、従来の自動制御とは異なる応答性を備える設計がなされています。これにより、連結運転時にもスムーズな運行が可能でした。

運用

最初の運用は1964年に始まり、主に烏丸車庫に配置されました。数系統にわたって連結運転やワンマン運転を実施することで、多くの通勤・通学客の移動を円滑に行えるよう配慮されていました。特にラッシュ時には、連結運転により大量の乗客を効率的に輸送可能な体制が確立されました。

しかし、財政状況の悪化により、計画されていた全20両の製造が中止され、最終的には4両が新造されるに留まりました。これにより、補完的な列車として600形からの改造を経て2600形も導入され、連結運転の強化に寄与しました。

廃車と譲渡

1977年には市電全廃を待たずに、全車が廃車となりましたが、そのうち5両は伊予鉄道に譲渡されました。譲渡車両は伊予鉄道内で改造され、狭軌に対応した仕様に変更されました。寄付された際の車両番号をそのまま引き継いで運用が開始され、特に冷房化の改造などが施されながら、現役での運用が継続されています。

現在の状況

2023年現在、譲渡された電車は松山市内で主力車両として稼働しており、数々の改良を受けているものの、その基本的なデザインは京都市電の800形を引き継いだものとして残っています。全体として、京都市交通局2000形電車は過去の交通歴史を彩る意味深い存在となっています。

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