京都市立桃陵中学校

京都市立桃陵中学校

京都市伏見区桃陵町に所在する公立中学校です。正式名称は「きょうとしりつ とうりょうちゅうがっこう」と読みます。この学校は、第二次世界大戦後の混乱期、日本の教育制度が大きく転換した学制改革の波に乗って誕生しました。具体的には、かつて旧日本陸軍の工兵第16連隊が使用していた練兵場跡地という、歴史的な土地に校舎が建てられ、同時に地域住民の憩いの場となる伏見公園も整備されました。

開校は1949年（昭和24年）4月です。設立当初、桃陵中学校は京都市の南部に広がる広大な範囲を学区としていました。具体的には、現在の桃山地区、南浜地区、横大路地区、向島地区、納所地区など、多岐にわたる地域から生徒が集まることになります。1970年代に入ると、京都市南部の人口増加に伴い、新たな中学校が次々と分離・開校していくことになります。それまでは、桃陵中学校が京都市内で最も南に位置する中学校の一つでした。

しかし、開校当初の学区割りは複雑な側面も抱えていました。例えば、学校が立地する伏見区桃陵町は南浜地区に隣接していますが、すぐ近くの南浜地区は京都市立桃山中学校の校区とされていたため、皮肉なことに地元である南浜地区からは一人も桃陵中学校へ通学する生徒がいない、という状況が続いた時期もありました。一方で、遠く離れた向島地区や横大路地区などが学区に含まれていました。

その後、学区の調整や新設校の開校に伴い、桃陵中学校の校区は幾度となく変更されていきます。1950年には、桃山地区と南浜地区が京都市立桃山中学校の校区に変更されました。その翌年の1951年には羽束師地区が編入されるなど、初期から学区は流動的でした。1975年には京都市立大淀中学校の開校に伴い納所地区が分離。1978年には京都市立神川中学校の開校により羽束師地区が分離されました。そして1980年、京都市立向島中学校が開校し向島地区が分離されると同時に、それまで学区外だった京都市立伏見南浜小学校の校区が桃陵中学校に編入され、南浜地区が再び学区に戻ることになります。さらに1990年には京都市立洛水中学校が開校し横大路地区が分離したことで、現在の京都市立伏見南浜小学校校区のみを学区とする桃陵中学校の姿となりました。

このように、桃陵中学校の歴史は、戦後復興期の設立から始まり、京都市南部の発展とそれに伴う新設校の分離、そして度重なる学区変更によって、その姿を変えてきた歴史と言えます。現在の校区は、京都市立伏見南浜小学校の卒業生が基本的に全員進学する形となっています。学校運営においては、2006年度から2学期制が導入されています。

学校の周辺には、広大な敷地を持つ伏見公園や、歴史的な観月橋があり、落ち着いた環境にあります。交通アクセスとしては、京阪宇治線の観月橋駅、あるいは京阪本線の中書島駅や伏見桃山駅が利用可能です。

著名な出身者としては、プロ野球においてコンディショニングコーチとして活躍する長田孝幸氏などが挙げられます。隣接する学区の中学校には、京都市立桃山中学校、京都市立伏見中学校、京都市立洛水中学校、京都市立向島秀蓮小中学校、京都市立向島東中学校などがあります。

この学校の沿革に関する詳細な記録は、1999年に発行された50周年記念誌「桃陵」などに収められています。

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