京阪鋼索線

石清水八幡宮参道ケーブル：男山を駆け上がる歴史と進化

石清水八幡宮参道ケーブルは、京都府八幡市にある石清水八幡宮へのアクセスを担う、京阪電気鉄道が運営するケーブルカーです。かつては「男山ケーブル」として親しまれていましたが、2019年10月、駅名や路線名、愛称が変更され、現在の名称となりました。

全長わずか0.4kmの短い路線ながら、その運行形態や歴史は非常に興味深いものです。2つのトンネルと全長108.7mの男山橋梁（トレッスル橋）を擁し、車両の行き違いは橋梁とトンネル区間で行われます。最大勾配は20.6%と急勾配であり、男山の険しい地形を反映しています。

運行と設備：進化し続ける技術

通常時は30分間隔で運行され、所要時間は約3分です。乗客の状況に応じて運行頻度が調整され、需要が多い時期には15分間隔での運行となります。大晦日や石清水祭前夜には終夜運転を実施するなど、地域行事にも密着した運行体制を取っています。

車両は2001年に更新され、2019年にはデザインを一新。赤い車両「あかね」と黄色の車両「こがね」の2両が運行されています。また、2016年には車内放送がリニューアルされ、向谷実氏作曲のBGMとBose製スピーカーの導入により、快適な車内空間が実現しました。

2020年には、ICOCAやPiTaPaなどの交通系ICカードが導入され、京阪の路線で唯一ICカードが利用できなかった状態から脱却しました。運賃は片道300円です。

ケーブル八幡宮山上駅には改札がないため、乗車券の購入や精算はケーブル八幡宮口駅で行われます。京阪本線への乗り換えについても、連絡乗車券や別途乗車券の購入など、具体的なルールが定められています。

歴史：男山索道から石清水八幡宮参道ケーブルへ

石清水八幡宮参道ケーブルの歴史は古く、1926年に男山索道として開業しました。その後、男山鉄道を経て京阪電気鉄道の子会社となり、戦時中の1944年には廃止されましたが、1955年に京阪電気鉄道直営で再開業しました。

開業当初の男山索道は、資本金150万円という、会社の規模に対して過大な資本金を持ち、建設費用も高額でした。これは、有利な鉄道免許を取得し、それを高値で転売することを目的とした策略であったと考えられています。

京阪電気鉄道は、競合線の建設を避けるため、やむなく男山索道を買収したという経緯があります。その後、幾度かの改称や設備更新を経て、現在の姿に至っています。

駅一覧

ケーブル八幡宮口駅
ケーブル八幡宮山上駅

両駅とも京都府八幡市に位置し、ケーブル八幡宮口駅からは京阪本線への乗換が可能です。

まとめ：信仰と観光を繋ぐ歴史ある路線

石清水八幡宮参道ケーブルは、歴史と技術の進化が凝縮された、魅力的なケーブルカーです。石清水八幡宮へのアクセス手段であると同時に、八幡市の歴史や文化を体感できる貴重な存在として、これからも多くの観光客や参拝者によって利用されていくでしょう。短いながらも、多くの魅力が詰まったこの路線は、現代においても進化を続け、人々を男山へと誘い続けています。

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