向谷実

向谷実：音楽と鉄道を繋ぐ多彩なキャリア

向谷実氏は、1956年生まれのキーボーディスト、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、実業家、そしてタレントとして多方面で活躍する人物です。東京都世田谷区出身で、幼少期から音楽に親しみ、4歳半からオルガン、5歳からピアノを習い始め、6歳で作曲を始めるなど、類まれな才能を示していました。

学生時代と音楽への道

中学生時代にはエレクトーンコンクールで優勝するなど活躍しましたが、全国大会を目指す過程で、自身の技術レベルの限界を感じ、高校時代は音楽を趣味に留め、弁護士を志して難関大学受験に挑戦するも失敗。その後、高校時代の担任の助言を受け、ネム音楽院（現ヤマハ音楽院）に進学し、エレクトーン演奏と指導の資格を取得しました。

カシオペア時代

1977年、ネム音楽院在学中に野呂一生氏らと出会い、アマチュアバンドだったカシオペアにキーボーディストとして加入。1979年のメジャーデビュー後、リーダーの野呂氏と共に29年間活動し、カシオペアのサウンドを支えました。その間、ライブMCも担当し、軽妙な話術で人気を博しました。また、ソロ活動や他のアーティストへの楽曲提供、サウンドプロデュースも積極的に行っていました。2012年にカシオペアを脱退後も、自身の会社である株式会社音楽館を通じて音楽活動を継続しています。

音楽館とTrain Simulator

1985年に設立した音楽館では、1995年に世界初となる実写版鉄道シミュレーションゲーム『Train Simulator』シリーズを制作・発売。幼少期からの鉄道好きが高じて生まれたこの作品は、大きな成功を収め、向谷氏の活動の大きな柱となりました。当初はMacintosh版のみでしたが、その後Windows版もリリースされ、業務用シミュレーターへの事業転換なども行っています。

鉄道音楽への貢献

『Train Simulator』以外にも、数多くの鉄道関連音楽を制作しています。JR九州九州[[新幹線]]、京阪電気鉄道、阪神電気鉄道など、様々な鉄道会社の接近メロディ、発車メロディ、車内BGMなどを手がけ、日本の鉄道の音風景に大きく貢献しました。2023年には、その功績が認められ、第64回交通文化賞を受賞しています。

多彩な活動と今後の展望

音楽活動、鉄道シミュレーターの開発・販売、鉄道関連音楽制作、メディア出演など、向谷氏は多岐にわたる分野で活躍を続けています。2021年には、カシオペアの元メンバーである櫻井哲夫氏、神保彰氏と共に「かつしかトリオ」を結成し、精力的に活動を展開。さらに、航空自衛隊ブルーインパルスの展示飛行用音楽制作にも携わるなど、その活動はますます広がりを見せています。

使用楽器

長年ヤマハ製のキーボードを愛用しており、カシオペア時代からDXシリーズなど、様々な機種を演奏に用いてきました。近年はヤマハMONTAGEシリーズをメイン機材として使用。その一方で、自身のバンド「かつしかトリオ」のレコーディングではNord Stage 3 Compact、ライブではMONTAGE 8と2段重ねで使用したり、2023年からはMONTAGE Mシリーズを使用するなど、状況に応じて最適な機材を選択しています。

著書とメディア出演

自身の経験や知識を活かした著書を多数出版しており、音楽や鉄道に関する造詣の深さ、そしてユーモラスな語り口が魅力です。テレビ番組やラジオ番組への出演も多数あり、その幅広い知識と親しみやすいキャラクターで人気を博しています。

向谷実氏の活動は、音楽と鉄道という一見異なる分野を融合させ、独自のキャリアを築き上げた好例と言えるでしょう。今後もその活動から目が離せません。

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