人吉仮出入口

九州自動車道 人吉仮出入口：城下町の交通を支えた仮出入口

1989年12月7日から1995年7月26日まで、熊本県人吉市七地町に存在した九州自動車道の仮出入口、人吉仮出入口。人吉ICから約4.2km南に位置し、国道219号と平面交差するというシンプルな構造が特徴でした。現在の人吉球磨スマートIC付近にあたります。

建設の背景と役割

当時、人吉―えびの区間は未開通でした。歴史ある城下町である人吉市街は道幅が狭く、鹿児島・宮崎方面からの車両流入による交通渋滞が懸念されていました。この問題を解消するため、人吉ICを補完する形で人吉仮出入口が設置されました。

仮出入口と国道219号の交差点は「蟹作交差点」と呼ばれ、ラジオの交通情報でも頻繁に報じられ、地域住民にとって馴染み深い場所でした。

暫定2車線とシンプルな構造

人吉仮出入口から人吉IC間は、現在の九州自動車道上り線にあたる部分に位置し、暫定2車線で対面通行でした。そのまま国道219号と交差するシンプルな構造は、あくまで人吉ICの補助施設としての役割を反映したものでした。そのため、入口標識は「19 人吉」と簡素な案内となっていました。

人吉―えびの開通と仮出入口の閉鎖

1995年7月27日、人吉―えびの区間が開通。これに伴い、人吉仮出入口は閉鎖されました。料金所が撤去され、跡地は「人吉南バスストップ」として再利用されました。

その後、4車線化工事に伴い、上り車線にあった国道219号への接続道路は埋め立てられ、現在の高速道路上には痕跡は何も残っていません。しかし、国道219号線には、えびの方面から仮出入口へ右折するための専用車線として拡張された部分が、唯一の痕跡として残っています。

高速道路上り線側に隣接する一般道も仮出入口の跡地と誤解されることもありますが、これは4車線化後の新設道路であり、現在は右折禁止となっています。

人吉球磨スマートICの供用開始

約24年後の2019年8月10日、この付近に人吉球磨スマートICが供用開始されました。当時とは異なり、鹿児島・宮崎方面へのアクセスも可能となり、道の駅人吉も整備され、このエリアは大きく変貌を遂げました。

人吉本線料金所との関係

人吉仮出入口の料金所は、人吉ICの下り側本線上に設置されていました。本線と同じ高さの平地には、かつて仮出入口専用の事務所がありましたが、現在は撤去され、料金所への階段のみが残っています。通行料金は人吉ICに比べて100円高額に設定されていました。当時の人吉ICはハーフICで、熊本・福岡方面への乗り降りしかできず、人吉仮出入口方面への走行はできませんでした。

まとめ

人吉仮出入口は、九州自動車道の歴史の中で、重要な役割を担った仮出入口でした。その存在は、人吉市の交通事情や地域住民の生活に深く関わっており、現在のスマートICにつながる歴史を物語っています。人吉球磨スマートICを利用する際には、かつてこの場所に存在した仮出入口の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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