人喰いの大鷲トリコ

『人喰いの大鷲トリコ』（The Last Guardian）は、2016年 12月6日にソニー・インタラクティブエンタテインメントから発売されたPlayStation 4|PlayStation_4用のアクションアドベンチャーゲームです。『ICO』や『ワンダと巨像』を手掛けた上田文人氏が監督・ゲームデザインを担当し、彼の作品の特徴である独特の世界観と、プレイヤーの感情に訴えかける物語が魅力です。

概要

プレイヤーは少年を操作し、人喰いの大鷲「トリコ」と共に、巨大な遺跡「大鷲の巣」からの脱出を目指します。トリコは単なる相棒ではなく、少年と協力し、時には助けを必要とする、まるで生きているかのような存在として描かれています。このゲームは、2009年のE3で初めて発表され、長年の開発期間を経て発売されました。

タイトルにある「トリコ」は、トリコロール（3色）の意味合いを持たせつつ、虜になる、囚われている、鳥の子供、鳥と猫といった複数の意味が込められています。ロゴデザインにも複数のフォントを使用することで、ゲーム内の多彩な要素を表現しています。

キャッチコピーは「思い出の中のその怪物はいつも優しい目をしていた。」と「少年と巨獣が紡ぐ、新たなる神話。」。

開発の経緯

当初はPlayStation 3用ソフトとして開発が進められていましたが、開発は長期にわたり難航しました。2015年にプラットフォームをPlayStation 4|PlayStation_4に変更し、2016年のE3で発売日が発表されましたが、最終段階でバグが発見されたため、発売が延期されました。そして、初報から7年の歳月を経て、ついに2016年 12月6日に発売されました。

ゲームシステム

戦闘よりも探索や謎解きが中心のアクションアドベンチャーです。少年はトリコを移動手段や攻撃手段として活用し、様々な仕掛けが施されたステージを攻略していきます。少年は小柄な体格を活かして狭い場所を通り抜けたり、物を投げたりできますが、戦闘能力は高くありません。一方、トリコは巨体ゆえに動きが制限されることもありますが、高い跳躍力や戦闘力を持っています。

特徴

画面上にUIがほとんど表示されない、レベルやHPなどの概念がない、掴む、捕まる、登るといったアクションを多用するなど、『ICO』との共通点が多く見られます。異なる点としては、操作キャラクターである少年が非力で、同行者のトリコが戦闘能力を持つ点が挙げられます。また、トリコを意図通りに動かすには慣れが必要で、その操作性の難しさが、トリコの生き物としてのリアリティと、少年との関係性をより深く表現しています。

あらすじ

物語は、老賢者「オールドマン」が語る、少年時代の体験談として展開されます。少年は、見知らぬ洞窟で目を覚ますと、そこには鎖で繋がれた人喰いの大鷲トリコがいました。最初は戸惑う少年でしたが、トリコの怪我に気づき介抱します。徐々に心を通わせる少年とトリコは、協力して遺跡からの脱出を目指します。

しかし、遺跡には謎の鎧兵士や、トリコよりも獰猛な黒い大鷲が待ち受けており、幾度となく襲いかかってきます。少年はトリコの力を借りながら、知恵と勇気を振り絞って困難を乗り越え、故郷への帰還を目指します。

終盤

物語の終盤、少年とトリコは遺跡の中枢である白い塔に辿り着きます。そこには、人間を操り、大鷲を従わせる謎の装置がありました。少年とトリコは装置を破壊し、支配から解放された大鷲たちは塔から墜落していきます。満身創痍のトリコは、少年を村まで送り届けますが、村人たちから攻撃を受け、姿を消します。

エピローグ

時が経ち、少年は大人になり、オールドマンとして子供たちに自身の体験を語り継いでいます。ある日、村で古い鏡が発見され、オールドマンが鏡を手にすると、遠く離れた大鷲の巣に共鳴が響き渡ります。そして、少年とトリコが出会った洞窟で、二匹の大鷲が暮らしている様子が描かれ、物語は幕を閉じます。

登場キャラクター

少年: 本作の主人公。ある日、大鷲に連れ去られ、見知らぬ遺跡で目を覚まします。
オールドマン: 少年時代の体験を語る、本作の語り部。
トリコ: 少年と行動を共にする人喰いの大鷲。傷を負っており、最初は警戒心を持っていますが、徐々に少年に心を開いていきます。
ヨロイ: 遺跡を徘徊する謎の兵士。少年を執拗に狙い、トリコに対しては目玉模様の盾で攻撃してきます。
黒い大鷲: 鎧をまとった獰猛な大鷲。少年とトリコを襲います。

設定・用語

大鷲の巣: 少年とトリコが閉じ込められた巨大な遺跡。人工的な構造物や謎の装置が多数存在します。
大鷲: 人を喰うと伝えられる巨大な獣。トリコもその一種です。
少年の言葉: ローマ字変換の逆さ読みで解読できる言葉が存在します。

スタッフ

ディレクター: 上田文人
コンポーザー: 古川毅

評価・受賞

本作は、週刊ファミ通のクロスレビューでプラチナ殿堂入りを果たすなど、国内外で高い評価を受けています。特に、その独特の世界観と、少年とトリコの絆を描いた感動的な物語が評価されています。一方で、トリコの操作性の難しさや、カメラワークの悪さなどが指摘されています。

主な受賞歴

日本ゲーム大賞2015 - フューチャー部門
日本ゲーム大賞2016 - フューチャー部門
文化庁メディア芸術祭第21回 2018年 - エンターテインメント部門大賞

関連商品

書籍: 人喰いの大鷲トリコ公式攻略&設定集
CD: 人喰いの大鷲トリコオリジナルサウンドトラック

関連項目

ICO (ゲーム) - 同監督作品。ゲームシステムに共通する部分があります。
* ワンダと巨像 - 同上。

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