人文会

人文会の活動：人文書の振興と発展のために

人文会は、日本における人文書を取り扱う20の出版社（うち1社は休会中）によって構成される業界団体です。1968年の設立以来、人文書の振興と発展に尽力しています。設立当初は、書店において人文書が文芸書と同様に扱われるなど、その存在感は低く、人文書の専門的な棚はほとんど存在しませんでした。しかし、人文会の長年にわたる活動により、書店に人文書コーナーが設置されることは一般的になり、さらに学問分野ごとに分類された専門的な棚が整備されるなど、人文書を取り巻く環境は大きく改善されました。

人文会の主な活動

人文会の活動は多岐に渡ります。主な活動として、以下のような取り組みが挙げられます。

人文書特選セットの企画・販売: 厳選された人文書をセットにして販売することで、人文書へのアクセス向上を図ります。
人文会特約店制度: 書店との連携を強化し、人文書の販売促進を支援する制度です。
書店との研修会: 書店員向けの研修会を開催し、人文書に関する知識や販売促進スキル向上を支援します。
機関誌『人文会ニュース』の発行: 年3回発行される機関誌を通して、会員各社間の情報共有や人文書に関する最新の動向などを発信しています。
『人文書のすすめ』の発行: 5年に一度発行される書籍で、人文学の各分野を分かりやすく解説した入門書と、人文書選定の参考となる基本図書リストを掲載しています。この書籍は、人文学への理解を深め、人文書の普及に貢献することを目的としています。

『人文書のすすめ』：人文学への入門書

『人文書のすすめ』は、人文会が5年に一度発行する重要な出版物です。1988年の『人文科学の現在：人文書の潮流と基本文献』を前身とし、その後も継続的に改訂・発行されています。この書籍は、二部構成となっています。

第一部「人文書のすすめ」: 各分野の研究者による解説を通して、人文学の様々な分野の概要を、15分程度の読み物として分かりやすく紹介しています。
第二部「基本図書一覧」: 書店や図書館の担当者にとって有用な、各分野の基本図書リストを掲載しています。人文会会員社の出版物だけでなく、多くの出版社の書籍が網羅されており、幅広い人文書へのアクセスを支援しています。

歴代の『人文書のすすめ』シリーズは以下の通りです。

人文会20周年記念委員会『人文科学の現在：人文書の潮流と基本文献』1988年 ISBN 978-4915735011
人文会25周年記念委員会『人文書のすすめ：人文科学の動向と基本図書』1993年 ISBN 978-4915735028
人文会『人文書のすすめII：人文書の流れと基本図書』1998年 ISBN 978-4915735035
人文会『人文書のすすめIII：人文科学の現在と基本図書』2003年 ISBN 978-4915735042
人文会『人文書のすすめIV：人文書の見取り図と基本図書』2008年 ISBN 978-4-915735-05-9 - 非売品

人文会の組織

人文会の組織は、「販売・企画委員会」、「調査・研修委員会」、「広報委員会」の3つの委員会で構成されています。それぞれの委員会が、人文会の活動を支える重要な役割を担っています。

人文会は、人文書の振興を通して、日本の文化・学術の発展に貢献し続けています。今後も、書店や研究者、読者との連携を深めながら、人文学の普及と発展に努めていくでしょう。

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