人狼機ウィンヴルガ

『人狼機ウィンヴルガ』

作品概要

『人狼機ウィンヴルガ』（じんろうきウィンヴルガ）は、漫画家・綱島志朗による日本の漫画作品です。秋田書店発行の漫画雑誌『チャンピオンRED』にて2016年10月号から2022年6月号まで連載され、その後は同じく秋田書店の『ヤングチャンピオン烈』に移籍し、『人狼機ウィンヴルガ 叛逆篇』と改題して2023年No.1より連載が継続されています。これは、作者の代表的なシリーズであるジンキシリーズの一つに数えられます。物語は巨大ロボット「人機」による戦闘を主軸としながらも、非常に過激な性的および暴力的な描写を多く含むことが特徴です。

あらすじ

世界は幾つもの階層に分かれて存在し、最下層に位置する街「ボイド・ミューラー」では、主人公の少女・真白・ミューラーが、妹のように可愛がっていた少女マイや養父のケンと共に穏やかな日々を送っていました。しかし、その平和は「ドミネイター」と呼ばれる支配者たちの襲撃によって突如として破られます。層の上部では、男性は奴隷とされ、女性はドミネイターの男たちの慰みものとなるという、想像を絶する過酷な現実が広がっていました。ボイド・ミューラーも例外ではなく、その脅威に晒されます。真白は、最愛の妹マイが無残にもドミネイターの男になぶり殺される姿を目の当たりにし、激しい怒りに駆られます。その激情に呼応したのが、「人機」と呼ばれるロボット、ウィンヴルガでした。

真白の強烈な怒りの感情を気に入ったウィンヴルガは、彼女を自身の操縦者として受け入れます。復讐と抗いの道を歩み始めた真白は、「ボイド・ミューラー」の一つ上の階層「ボイド・ティンベイ」で、マイに瓜二つの女性戦士、飛花と出会い、行動を共にすることになります。一方、ドミネイター側では、元老院議長の息子である根室大二郎が、希少な赤い眼と白い肌を持つ真白を陵辱したいという歪んだ執着心を燃やし、精鋭部隊「エイト・ラウンズ」に彼女の捕獲を依頼します。これがきっかけとなり、真白は「エイト・ラウンズ」のメンバーたちと深く関わることになり、彼らの閉ざされた価値観にも徐々に変化をもたらしていきます。真白は戦いの中でウィンヴルガとの絆を深めていくと同時に、世界の隠された謎や、彼女自身の出生にまつわる秘密が明らかになっていきます。「叛逆篇」では、新たな主人公ウィンが登場し、物語の舞台は海が存在するボイド・シンへと移ります。

主な登場人物

真白・ミューラー（ましろ・ミューラー）: 物語の主人公。ボイド・ミューラーで育ったが、ドミネイターによる悲劇を経て、人機ウィンヴルガの操縦者となり、女性ゲリラ部隊「赤い戦線（アヴァン・ルージュ）」に身を寄せて戦う。妹マイの死によりドミネイターへの強い憎しみを抱く。赤い眼と白い肌はドミネイターにとって特別な存在とされ、狙われる原因となる。天津之黄泉の王族の血を引くという出生の秘密を持つ。
ウィンヴルガ: 真白が搭乗する特殊な人機。星形三番機と呼ばれ、搭乗者の感情をエネルギー源とする。普段は青い狼型だが、人型に変形可能。真白の怒りの感情を好み、彼女を操縦者として選んだ。戦闘以外にも、衣服生成や治療機能などを持つ。
飛花・ルージュ（ひばな・ルージュ）: 元「赤い戦線」のエースパイロット。武器や人機の扱いに天賦の才を持つ。マイに容姿が似ており、真白を「姉さん」と呼び慕い、行動を共にしている。
ウィン: 「叛逆篇」の主人公。記憶を失った状態で目覚め、ニゴウに拾われ過酷な訓練を受ける。「転生機」であることが判明し、真白生存の可能性を信じて救出を決意する。
ウィンヴェイン: ウィンが搭乗する人機。元は星形二番機ヴェインだったが、ウィンの力で蘇った。

ドミネイター

根室 大二郎（ねむろ だいじろう）: ドミネイターの元老院議長の息子である大尉。典型的なドミネイター男性の価値観を持ち、真白を自らのものにしようと執着する。自身の権力を笠に着た冷酷な人物。
ロックウェル: 少佐。マイを惨殺した張本人であり、真白の怒りとウィンヴルガ覚醒の引き金となった。真白との戦闘で死亡。
ゼイン: エイト・ラウンズの一員であるエースパイロット。ドミネイターとしては異例の女性への優しさを持つが、支配体制には従う。ドールマンたちの姿を見て、愛のある関係性を求めるようになる。
ドールマン: エイト・ラウンズの隊長。女性好きだが、ドミネイター社会において異質なほど女性に優しく、愛を伴わない性行為を嫌う人格者。グロリアを助け、彼女との関係を通じて他のドミネイターたちの価値観に影響を与えた。「叛逆篇」ではドミネイターを離れ、ウィンを導く存在として登場する。
グロリア・ルイーズ: エイト・ラウンズの女性兵士。高い戦闘能力を持ち、女性たちの憧れの存在。ドールマンに救われた過去を持ち、彼を深く慕っている。ドールマンとの間に子を宿すが、「叛逆篇」では最高司令の人質となっている。

紅い戦線（アヴァン・ルージュ）

ボイド・ミューラーの上層に位置する女性たちで構成された、ドミネイターに対抗するレジスタンス組織。ドミネイターによる性暴力を防ぐため、一部のメンバーは子宮に爆弾を仕込むという過酷な選択をしている。

天津之黄泉（あまつのよみ）

真白の出生に関わる国。

転生機

人機が操縦者への強い愛着から人間の姿に変貌した存在。「叛逆篇」に登場するニゴウ、キュウ、ウィンがこれに該当する。

その他

ケン・カオルナイト: 真白の養父。元ドミネイター兵士だが、真白の実父との出会いを経て離反し、真白を育て上げた。
マイ: 真白がボイド・ミューラーで妹のように可愛がっていた少女。ドミネイターの襲撃により、真白の目の前でロックウェルに陵辱され死亡する。飛花に容姿が似ている。

作中設定・用語

ボイド・ミューラー: 真白が暮らしていた最下層の街。ドミネイター襲撃により壊滅。
ボイド・ティンベイ: ミューラーのすぐ上の階層。アヴァン・ルージュが守っていたが陥落。
ボイド・エイヴァーン: ドミネイターの本拠地の一つ。
ボイド・シン: 「叛逆篇」の舞台となる、海のある階層。
ドミネイター: 極端な男尊女卑思想を持つ国家。帝国主義的に各層を侵略する。男性は女性を性奴隷と見なし、女性兵士も過酷な扱いを受ける。遺伝子的な問題から出生率や生存率の低下に悩まされている。

書誌情報

綱島志朗 『人狼機ウィンヴルガ』 秋田書店〈チャンピオンREDコミックス〉、全10巻
* 綱島志朗 『人狼機ウィンヴルガ 叛逆篇』 秋田書店〈チャンピオンREDコミックス〉、既刊3巻（2025年1月20日現在）

※ISBN情報は省略します。

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