人生美味礼讃

ALI PROJECTが2020年7月29日にリリースした20枚目のアルバム『人生美味礼讃』は、その名の通り「食」をテーマにしたコンセプトアルバムです。ALI PROJECTが長年にわたり楽曲に取り入れてきた「食」というテーマに焦点を当て、食にまつわる様々なイメージや感情を、独自の音楽世界で表現しています。

アルバムには、新曲5曲を含む全13曲が収録されています。それぞれの楽曲は、毒味、和牛、昭和のB級グルメ、茸、ジビエ料理、アブサンなど、食に関する様々なモチーフを題材にしており、ALI PROJECTならではの耽美的で幻想的な歌詞と、クラシカルで重厚なサウンドが組み合わさることで、他に類を見ない独特な世界観を創り上げています。

通常盤にはボーナストラックとして、代表曲の一つである「ストロベリーパイをお食べ」の新録版「ストロベリーパイをお食べ～運命編」が収録されています。この新録版は、原曲の魅力をさらに引き出しつつ、新たなアレンジと演奏によって、新鮮な感動を与えてくれます。

初回限定盤は、CD2枚組という豪華な仕様になっています。DISC1はアルバム本編、DISC2には2002年に行われたストリングス・オーケストラコンサートの第一弾『月光ソワレ』のライブ音源が収録されています。このライブ音源は、ALI PROJECTの初期の楽曲をストリングス・オーケストラをバックに演奏したもので、その貴重な内容から、ファンにとっては垂涎のアイテムと言えるでしょう。

アルバムのジャケット写真も、大きな話題となりました。宝野アリカが着用している肉ドレスは、何種類もの肉を撮影し、それをプリントした生地で制作されたという、非常にインパクトのあるもので、アルバムのテーマである「食」を視覚的に表現しています。

収録曲について、いくつかの楽曲では、既存のクラシック音楽やサンプル音源が引用されています。例えば、「人生美味礼讃」では、ストラヴィンスキーの『弦楽四重奏のための3つの小品』やスティーヴ・ライヒの『手拍子の音楽』が引用されており、「茸狂乱美味礼讃」では、ジョン・アイアランドの『London Pieces - Soho Forenoons』やクリストフ・ヴィリバルト・グルックの『オルフェオとエウリディーチェ』の精霊の踊りなどが使用されています。これらの引用は、楽曲に深みと奥行きを与え、ALI PROJECTの音楽性をさらに豊かなものにしています。

「喰らう女」は、当初、宝野アリカがファンであった戸川純が率いるバンド「ヤプーズ」の楽曲『肉屋のように』のカバーを収録する予定でしたが、最終的に、その楽曲をイメージしたオリジナル曲として制作されました。

『人生美味礼讃』は、ALI PROJECTの音楽的な探求心と、食に対する深い愛情が込められた、まさに「美味」なアルバムと言えるでしょう。耽美で幻想的な世界観と、卓越した音楽性によって、聴く者を魅了し、新たな食の喜びと感動を与えてくれます。

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