人造人間キカイダー (漫画)

『人造人間キカイダー』

概要

『人造人間キカイダー』は、石ノ森章太郎によって創作された漫画で、特撮の要素を取り入れた作品です。1972年から1974年まで、小学館の『週刊少年サンデー』に連載されていました。この作品はしばしば特撮版の原作として扱われることがありますが、実際にはテレビ版の企画が先行しており、石ノ森が原作者として参画したことから、形式が整えられたのです。連載の初期には『人造人間ゼロダイバー』というタイトルで告知されていましたが、最終的に現在知られるタイトルに変更されました。

物語は、悪の組織ダークと、主人公である人間型ロボット・ジロー（キカイダー）との戦いを中心に展開されます。ジローは「不完全な良心回路」を持ちながらも、多くの人格的葛藤を抱え、人間としてのアイデンティティを探し求める姿が描かれています。彼にとって「人間になりたい」という願望は物語の最後においても解決しないままとなり、読者に考える余地を残す形となっています。

テレビ版と同様の基本設定ながら、漫画版は異なる物語展開を見せます。ジローの年齢設定が、テレビ版の20代前半から10代後半に変更されているため、彼の葛藤や悩みが異なる表現で描かれています。また、テレビ版の続編にあたるキカイダー01も登場しますが、物語は主にジローの視点で進行します。

物語の進行に伴い、終盤は『イナズマン』との同時連載となり、石ノ森が担当するページの多くがそちらに回されるため、『人造人間キカイダー』のページ数は徐々に減少していきました。

作画は石ノ森の弟子たちが担当し、彼自身はネームと下書きまで行うことが主でした。作画はひおあきら、土山芳樹、細井雄二、山田ゴロの4人が分担して進められ、ページによって絵柄が異なることもあったとされています。

登場キャラクター

本作には多彩なキャラクターが登場します。特にジロー（キカイダー）は、彼の兄と弟であるイチロー（キカイダー01）や零（キカイダー00）との関係も物語の重要な要素です。ジローは自然警備隊の研究者である光明寺博士によって、良心回路を埋め込まれて人間型ロボットとして誕生しました。彼は音楽好きな一面を持ち、物語の中で時に自己中心的な性格を見せることもあります。

イチローはジローの兄として、初めて製造された人造人間です。彼は良心回路を持たず、より直情的な性格をもっています。一方、零はジローの弟であり、より高い戦闘能力を持つように設計されています。

光明寺博士やその家族、さらには敵役として登場するプロフェッサー・ギルやハカイダーなども含め、物語はさまざまな視点から展開し、考察の余地を与えています。

結び

『人造人間キカイダー』は、その魅力的なキャラクターや複雑な人間ドラマ、そして特撮との関連性によって、今なお多くのファンに受け入れられています。また、続編や関連作品が続くことで、昭和の特撮ブームを代表する存在となっています。この作品は、ただのバトル漫画にとどまらず、深いメッセージを持つ作品として、多くの人に影響を与え続けることでしょう。

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