人間失格 (漫画)

漫画『人間失格』について

『人間失格』は、太宰治の同名小説を原案とした、古屋兎丸による漫画作品です。『週刊コミックバンチ』での連載開始後、『月刊コミック@バンチ』に移籍し、2011年まで連載されました。単行本は全3巻で、各話は「第○の日記」という形式で語られます。

あらすじ

漫画家の古屋兎丸が、新連載のネタを探しているうちに、ある個人の日記サイトにたどり着きます。そのサイトには「人間失格」と題された日記と、3枚の写真が掲載されていました。幼少期の無邪気な姿、美少年に成長した青年期、そして生気を失った老人のような姿。これらの写真に写る男、大庭葉蔵の人生に古屋は興味を抱き、日記を読み進めていきます。葉蔵の人生は、順風満帆に見えた少年時代から、次第に破滅へと向かっていくのです。

主な登場人物

大庭葉蔵（おおば ようぞう）
本作の主人公。裕福な家庭に生まれ、容姿端麗で成績優秀だったが、周囲に迎合するため道化を演じ続けることに疲弊していく。美術予備校で悪友・堀木と出会い、酒やタバコ、風俗に溺れ、ついには勘当され、人生が大きく狂い始める。

堀木正雄（ほりき まさお）
葉蔵の美術予備校の同級生で、葉蔵を堕落へと誘う悪友。原作とは異なり葉蔵より1歳年上。遊び好きで女性関係にだらしがないが、葉蔵のことを軽蔑しながらも友人として付き合い続ける。葉蔵が心中未遂を起こした後は、雑誌のイラストレーターとして活動している。

佐々木（ささき）
大日本労働者維新連合会のリーダー。東大卒のニートで、国会議事堂や大企業爆破を企てている。葉蔵をテロ計画に巻き込む。

岬（みさき）
佐々木の恋人で、大日本労働者維新連合会のメンバー。葉蔵が彼女に手を出したことがきっかけで、テロの実行犯に仕立て上げられる。連合会から逃亡する原因となる人物。

アゲハ
葉蔵と心中未遂を起こした女性。本名は泉谷真美。キャバクラ嬢で、右手にアゲハチョウの刺青がある。この事件で死亡する。

ヒラメ
葉蔵の父親の太鼓持ちをしていた骨董商。本名は渋田平蔵。心中未遂後、警察から葉蔵を引き取り、自宅に軟禁する。葉蔵を「人間のクズ」と見下し、冷たく当たる。

田中静子（たなか しずこ）
堀木がイラストを描いている雑誌の編集者。葉蔵がヒラメの家から逃げ出す際に一時的に身を寄せた。葉蔵に漫画の仕事を紹介するが、葉蔵の逃亡により関係が終わる。

ママ
葉蔵が住み込みで働くバー『マノス』のママ。葉蔵からは「マリア様のような存在」と評され、心のよりどころとなる。

朝井佳乃（あさい よしの）
葉蔵がよく行くタバコ屋の娘。18歳で、葉蔵からプロポーズを受ける。

作品の特徴

本作は、太宰治の原作小説をベースに、主人公・葉蔵の心の葛藤や社会からの疎外感を、古屋兎丸ならではの繊細なタッチで描き出しています。原作の持つ文学的な深みを損なうことなく、現代的な視点を加え、新たな『人間失格』の物語として読者を魅了します。また、登場人物たちの複雑な人間関係や、それぞれの心の闇が、物語に深みを与えています。

連載は終了していますが、単行本は現在も入手可能です。

書誌情報

1巻：2009年6月15日発売 ISBN 978-4-10-771486-2
2巻：2010年2月15日発売 ISBN 978-4-10-771542-5

外部リンク

人間失格 - 月刊コミック＠バンチ

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