仁川百合野町地すべり資料館

仁川百合野町地区地すべり資料館：記憶を継ぎ、未来を守る

1995年1月17日、阪神・淡路大震災により、兵庫県西宮市甲山山麓の仁川百合野町地区で甚大な地すべり災害が発生しました。この資料館は、この悲劇を風化させることなく、未来への教訓として後世に伝えるために設立された施設です。兵庫県阪神南県民センター県土整備部河川砂防課の所管下にあり、県立甲山森林公園のすぐ東側に位置しています。

災害の爪痕と復興の歩み

地震による地すべりは、幅約100メートル、長さ約100メートル、深さ15メートルに及び、約10万立方メートルもの土砂が移動しました。この災害により、仁川百合野町と仁川6丁目の住宅13戸が押しつぶされ、34名もの尊い命が失われました。想像を絶する規模の災害だったことが、資料館を訪れると改めて痛感させられます。

1997年11月18日、災害発生から2年後に開館した資料館は、地震と地すべりに関する貴重な資料を展示しています。ビデオ映像やパネル、ジオラマ模型などを通して、当日の状況や災害のメカニズム、そして被災者の体験などが克明に紹介されています。資料館を訪れる人は、その規模と悲惨さを目の当たりにし、自然災害の脅威を肌で感じることでしょう。

資料館の近くには、犠牲者の冥福を祈る慰霊碑が建立されています。また、資料館周辺には、地域住民によってアジサイやスイセンなどの花々が植えられ、美しく整備されています。特に、地すべり斜面には、地域住民団体「ゆりの会」が2004年からシバザクラを植栽しており、今では6000株を超える花畑が広がり、春には見事な景観を見せています。

かつては、「ゆりの会」が毎年追悼コンサートを開催していましたが、関係者の高齢化を理由に2011年に終了しました。しかし、このコンサートは、地域住民の絆と災害からの復興への強い意志を示す象徴的な出来事でした。

来館案内とアクセス

資料館は、午前10時から午後4時まで開館しており、月曜日と木曜日、年末年始は休館です。入館料は無料です。

交通アクセスは、阪急今津線仁川駅から徒歩約30分、または阪急バス、阪神バスのバス停から徒歩約15分です。しかし、駐車場がないため、徒歩での来館が推奨されています。資料館周辺は住宅街であるため、公共交通機関の利用または徒歩でのアクセスをお願いします。

記憶と教訓を未来へ

仁川百合野町地区地すべり資料館は、単なる資料館ではありません。この地で起きた悲劇を忘れず、未来への教訓として語り継いでいくための重要な場所です。自然災害の脅威を改めて認識し、防災意識を高めるために、ぜひ一度足を運んでみてください。資料館で得た知識と経験を活かし、地域社会全体の防災対策に貢献していきましょう。

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