仁義なき戦い 完結篇

仁義なき戦い 完結篇

『仁義なき戦い 完結篇』は、1974年に公開された東映製作の日本映画で、菅原文太が主演、深作欣二が監督を務めました。「仁義なき戦いシリーズ」の最終作として、広島抗争の終結とその後の新たな抗争を描いています。

解説

本作は、前作『仁義なき戦い 頂上作戦』で終焉を迎えたはずの広島抗争の第三次抗争を描いています。シリーズのヒットを受けて東映が続編を企画しましたが、脚本家の笠原和夫が執筆を拒否したため、高田宏治が脚本を担当しました。興行収入は3億7100万円を記録し、1974年の邦画配給収入ランキングで8位となり、シリーズ最大のヒット作となりました。

ポスターに使用されているキノコ雲の写真は、広島原爆ではなく長崎原爆のものです。

あらすじ

広能組と山守組の抗争は、警察の「頂上作戦」によって終息に向かいます。広能組長の広能昌三は網走刑務所に収監され、山守組では武田明が広島のヤクザ組織をまとめ、政治結社「天政会」を立ち上げます。

しかし、天政会は武田の運営方針に守旧派が反発し、一枚岩ではありません。そんな中、広能の兄弟分である市岡輝吉が天政会幹部を暗殺し、組織は報復を主張する大友と、自重を求める武田で対立が深まります。

県警は天政会壊滅のため武田を検挙する方針を立て、武田は理事長の松村保を後継者に指名します。武田の逮捕後、松村は組織の若手実力者と協力し、危機を乗り越えようとします。一方、大友は松村を殺害し、天政会を牛耳ろうと企てます。

松村の殺害は未遂に終わり、天政会内部では松村を弱腰と見なす動きが広まります。大友は市岡と手を組み、松村組の縄張りを荒らします。これに対し、松村は市岡を殺害し、大友は逮捕されます。松村は組織の組長たちに盃直しを要求し、天政会で強大な権力を握ります。

武田が出所すると、松村は理事長に戻りますが、世代交代は二人の関係を変化させます。広能の出所をめぐり対立が表面化する中、天政会幹部が広能組員に暗殺され、組織内では広能への強硬論が強まります。

出所した広能に武田は面会を求め、引退を勧めますが、松村も広能に面会し、自身の後継就任と広能の引退を迫ります。広能は松村の未熟さを指摘し、返答を保留します。

松村は会長就任の挨拶のため関西に向かう途中、襲撃を受け重傷を負います。反松村派は広能を仲間に引き入れようとします。松村は決死の覚悟で会長襲名披露を行い、広能は組員たちを託します。広能組の天政会参加後、組員が襲撃され死亡したことを受け、広能は引退を決意します。

キャスト

広能昌三 - 菅原文太
武田明 - 小林旭
松村保 - 北大路欣也
市岡輝吉 - 松方弘樹
大友勝利 - 宍戸錠

スタッフ

監督：深作欣二
脚本：高田宏治
原作：飯干晃一

作品の評価

本作は、前作を上回る興行収入を記録しましたが、脚本が笠原和夫から高田宏治に交代したことで、評価が分かれる部分もあります。高田は、自身の脚本について「シリーズの中で一番乾ききっており、本当の意味での『仁義なき戦い』である」と述べています。

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