今上帝 (源氏物語)

今上帝

『源氏物語』に登場する第四代の帝、今上帝。朱雀帝の第一皇子であり、物語における重要な存在です。母は承香殿女御で、今上帝が即位する前に亡くなっています。物語の終結時点においても在位しているため、「今上帝」という呼称で広く知られています。

今上帝の生涯

今上帝の生涯は、物語を通して断片的に描かれています。詳細な記述はありませんが、複数の后妃を迎え、多くの皇子皇女をもうけたことがわかります。その統治期間は、物語全体の重要な部分を占めており、物語の展開に大きな影響を与えています。

后妃

今上帝は複数の女性を后妃として迎えています。

明石中宮: 光源氏の娘であり、東宮、二の宮、匂宮、五の宮、そして女一宮の母として物語において重要な役割を果たしています。
藤壺女御: 左大臣の娘であり、女二宮の母です。物語の「梅枝」に登場する麗景殿女御と同一人物である可能性も指摘されています。
某更衣: 常陸宮の母です。詳細な出自については物語では触れられていません。
尚侍: 髭黒の三女であり、玉鬘を母に持ちます。物語の「竹河」の巻にのみ登場する人物です。

皇子女

今上帝には多くの皇子皇女がいます。それぞれが物語の中で重要な役割を担っており、彼らの物語を通して、今上帝の治世の様子が間接的に描かれています。

第一皇子：東宮: 物語における重要な皇族の一人です。詳細な記述は少ないものの、彼の存在感は物語全体に影を落とします。
第二皇子：二の宮: 後に式部卿宮として知られるようになります。「蜻蛉」の巻以降、物語における彼の活躍が目立つようになります。
第三皇子：匂宮: 兵部卿宮とも呼ばれ、物語後半で重要な役割を担います。複雑な恋愛模様や、その後の展開において重要な存在となっています。
第四皇子：常陸宮: 母は某更衣。物語における彼の役割は限定的ですが、皇族としての存在感は無視できません。
第五皇子：五の宮: 彼の存在は、宮廷における権力闘争や複雑な人間関係を浮き彫りにします。
第一皇女：女一宮: 一品の宮とも呼ばれ、宮廷社会における女性の地位や役割を象徴する人物です。
第二皇女：女二宮: 藤壺女御の娘であり、物語における彼女の存在は、家族間の複雑な関係性を示唆しています。夫は薫です。

今上帝の物語における役割

今上帝自身は物語の中心に据えられていませんが、彼の存在は物語全体に大きな影響を与えています。彼の皇子皇女たちは物語の主要な登場人物として活躍しており、彼らの行動や運命を通して、今上帝の治世下の宮廷社会が描かれています。また、物語の終結時点まで在位しているという設定は、物語全体を俯瞰する視点としての役割も担っています。今上帝の治世は、物語全体の重要な背景として、そして登場人物たちの運命を決定づける要素として、深く関与しています。

参考文献

『源氏物語』

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