今井兼次

今井 兼次（いまい けんじ）

今井兼次は、1895年1月11日に東京で生まれ、1987年5月20日に逝去した、日本を代表する建築家であり、教育者でもあります。彼は早稲田大学理工学部建築学科を卒業し、その後長年にわたって母校で教授として教鞭を執り、数多くの優れた建築家や研究者を育成しました。特に、昭和初期にはアントニ・ガウディを日本に紹介したことで知られています。

生涯と教育者としてのキャリア

東京市赤坂区青山権田原町に生まれた今井は、青山尋常小学校から日本中学校を経て、早稲田大学に進学しました。1919年に卒業し、同年内に助手として大学に残りました。翌年には助教授に昇進。その後、1926年から1927年にかけては東京地下鉄道の各駅の設計や車両の内装、職員制服のデザインを任され、ヨーロッパでの建築視察を通じて様々なモダニズム様式に触れました。

帰国後、今井はその経験を活かし、ガウディの作品を日本に紹介しました。1928年には帝国美術学院の設立に関与し、1935年に設立された多摩帝国美術学校では講師を務めました。1948年にはカトリック洗礼を受け、1965年に早稲田大学名誉教授となり、関東学院大学でも教授として教えました。彼の教え子には、建築家で日本芸術院会員の池原義郎も含まれています。

建築における業績

今井の作品は少数ですが、彼は合理的で機能的なモダニズム建築から距離を置き、職人技を活かした建築を創作しました。手作業にこだわり、自らタイルを張ることでも知られています。彼の作品はいずれも独特の風合いを持ち、受け継がれる職人の技術を感じさせます。

主な作品

• - 大多喜町役場
• - 日本二十六聖人殉教記念館
• - 桃華楽堂

受賞歴

今井はその業績に対して多くの賞を受けています。1960年には大多喜町役場の設計で日本建築学会賞作品賞を受賞し、1963年には日本二十六聖人殉教記念館で同賞を再び受賞しました。他にも、1966年には日本芸術院賞、1970年には勲三等瑞宝章、1977年には日本建築学会賞大賞を獲得し、1973年にはスペイン賢者聖アルフォンソ10世市民賞を受賞しました。

著作物

今井はまた、多くの著作も残しています。1928年に「海外における建築界の趨勢」というパンフレットを発表して以降、様々な建築関連の書籍を出版しました。

影響と評価

今井兼次の業績は、単なる建築作品に留まらず、日本の建築教育にも大きな影響を与えました。彼の教えを受けた多くの建築家や研究者たちは、今井の思想や技術を受け継ぎ、さらに進化させています。彼の存在は、モダニズム建築史においても欠かせないものとなっています。彼の死後も、彼の影響や教えは今なお生き続けています。

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