今井美樹 (食生活学者)

今井 美樹のプロフィールと業績

今井美樹（いまい みき）は、日本の食生活学やジェンダー学の研究者であり、現在、昭和女子大学人間社会学部の准教授として教鞭を振るっています。また、昭和女子大学内における女性文化研究所、生活機構研究科、現代教育研究所においても顕著な役割を果たしています。彼女は、特に調理教育に関する分野での先駆者と見なされています。

略歴

彼女は1965年に生まれ、1988年に昭和女子大学の家政学部生活科学科を卒業しました。卒業後は食品業界での実務経験を経て、高等学校で家庭科の教員として勤務し、その後昭和女子大学大学院生活機構研究科に進学し、生活文化研究に焦点を当てました。修士課程を修了した後は、研究と非常勤講師としての活動を両立させ、神奈川県立保健福祉大学などでも教えていました。2005年には昭和女子大学短期大学部で専任講師として採用され、同年の9月には博士課程に入学しました。初年度には、日本調理科学会から奨励賞を受賞しています。

2008年に博士（学術）を取得すると、その後も教壇へと戻り、家庭科教育を主なテーマとして教鞭を執り続けています。2013年からは准教授に昇進し、以降も女性文化研究所や現代教育研究所の所員としても活躍しています。

研究の概要

今井美樹の研究の中でも特に注目されるのが、2012年に出版した著作『近代日本の民間の調理教育とジェンダー』です。これは調理教育におけるジェンダー研究の先駆的な成果として評価されています。著書では、明治及び大正時代の資料を用いて、従来統計的に捉えられてこなかった調理教育のジェンダー構造を明らかにしました。

この研究の目的は、近代日本における調理教育の特徴と、それにかかわる人々のジェンダー状況を構造的に浮かび上がらせ、特に女性に対する教育の意義や限界を明示することにありました。研究の過程で、明治期には女性も少数ながら参加していたものの、大部分は男性が代表であり、料理雑誌においても性別による違いが見られたことが明らかになりました。また、優れた調理技術を持つ女性の活躍も記録されています。この著作は、完成までに18年を要し、科学研究費助成事業にも採択されたという成果もあります。

押谷由夫氏は、今井のアプローチを高く評価し、民間の調理教育をテーマにしたことで新たな視点を提示した点や専門的な料理雑誌の詳細な分析によって隠れた知見を引き出した点が素晴らしいとコメントしています。また、研究の結果は坂東眞理子基金女性文化研究奨励賞など、様々な賞を受賞するなど、広く支持を集めています。

主な著書

1. 『近代日本の民間の調理教育とジェンダー』（2012年）
2. 『テキスト 調理実習 –家庭科教員養成における調理教育の実際–』（2020年）
3. 『調理学実習I –栄養士・家庭科教員養成における調理教育の実際–』（2021年）

さらに、彼女は多くの共著書も手掛けています。今井美樹は、食文化や教育に関する平等な視点を提供し、今後の研究や教育の発展に貢献する重要な学者の一人です。

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