今井金吾

今井金吾 (いまい きんご)

今井金吾（1920年7月5日 - 2010年5月2日）は、日本のジャーナリスト、文筆家として広く認識されており、特に江戸や街道に関する研究で高い評価を受けています。彼は日本経済新聞社の記者としてキャリアをスタートし、その後、街道歩きの第一人者としても知られるようになりました。彼の研究対象には、岡本綺堂の『半七捕物帳』も含まれています。

生い立ちと経歴

大正9年（1920年）に東京府の神田区で生まれた今井金吾は、後に品川区大井に移りました。彼の先祖は群馬県に由来し、戦後間もない昭和21年（1946年）には早稲田大学を卒業して日本経済新聞社に入社。主に社会部に配属され、帝銀事件や下山事件などの重要な事件を取材しました。彼はそして、警視庁キャップや婦人家庭部長、大阪本社社会部長などを歴任し、昭和49年（1974年）に定年退職を迎えます。

在籍中から江戸や街道への関心を深め、昭和37年（1962年）には婦人家庭部として『街道今昔　趣味の宿場めぐり』を出版しました。彼の街道研究の業績は、特に昭和47年（1972年）に行った東海道・伊勢参宮街道の現地調査において際立っています。この調査を通じて作成された著作『今昔東海道独案内』は、街道研究の伝説的な作品として今も多くの読者に愛されています。

研究と著作

今井金吾の著作は、街道関連や『半七捕物帳』に関するものが多く、彼の知識豊かな視点が示されているものばかりです。代表的な著作には、

• - 『東海道五十三次　今と昔』
• - 『詳説江戸名所記』
• - 『今昔東海道独案内』
• - 『半七捕物帳　江戸めぐり　半七は実在した』

などがあります。いずれの著作も、彼の深い江戸の歴史への愛情と彼自身の因縁のある土地への理解を反映しており、専門家たちによっても高く評価されています。

特に、『今昔東海道独案内』は、街道歩きのバイブルともなっており、読者に丁寧に江戸の風景や歴史の移り変わりを伝えています。また、『半七捕物帳』に関する研究も精力的に行い、岡本綺堂との親交を深めその作品の復刻を手がけました。これにより、失われた歴史が蘇り、今井金吾の功績は江戸文化の保存に寄与しました。

最後の年と遺産

彼は2010年5月2日に心不全で亡くなり、89歳という長い生涯を全うしました。今井の培った作品や知識は、彼の遺族によって品川区立品川歴史館に寄贈され、彼の影響は今尚、次世代へと受け継がれています。

今井金吾の業績は、日本の街道研究や江戸文化の理解に多大な貢献を果たしており、彼の著作を通じて多くの人々が江戸や街道の魅力に触れ続けています。彼は単なるジャーナリストに留まらず、江戸の精神文化や歴史の案内役としても偉大な存在だったことが伺えます。

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