今夜はドント・ストップ

「今夜はドント・ストップ」（Don't Stop 'Til You Get Enough）

『今夜はドント・ストップ』は、1979年にマイケル・ジャクソンが発表した楽曲で、同年にリリースされたアルバム『オフ・ザ・ウォール』からの人気シングルとして多くの人々に親しまれています。この曲はマイケルが自身で作詞・作曲を手掛けており、彼の音楽スタイルの革新性を象徴する一曲です。

この楽曲は、ビルボード誌で1979年10月13日付の週間ランキングで第1位を獲得し、同年の年間ランキングで第91位にランクインしました。また、1980年度のグラミー賞では「最優秀男性R&Bヴォーカル賞」を受賞し、アメリカン・ミュージック・アワードでは4つの部門で賞を獲得したことも話題となりました。これにより、マイケル・ジャクソンの名声はさらに高まり、多くのファンを魅了しました。

特に日本では1981年から1982年にかけて、スズキのスクーター「ラブ」のCMソングとして使用され、この曲の歌い出しである“Lovely～”と商品名の「ラブ」を組み合わせた印象的な広告が記憶に残っています。このCMにより、マイケルの日本での知名度が大きく向上するきっかけとなったのです。

この曲のメインボーカルは、冒頭のささやき以外はすべてファルセットで歌われている特徴があります。ファルセットの使用は、彼の音楽スタイルの一部であり、彼の多彩なボーカル技術を示しています。また、この楽曲は後に『グレイテスト・ヒッツ』や『ナンバー・ワンズ』、『アルティメット・コレクション』、そして『エッセンシャル・マイケル・ジャクソン』などのコンピレーションアルバムにも収録され、多くの世代に受け入れられています。

ミュージックビデオ

「今夜はドント・ストップ」のミュージックビデオは、ニック・サックストンによって監督・プロデュースされ、1979年10月に全世界に公開されました。これはマイケルのソロアーティストとしての初の公式ミュージックビデオであり、彼のパフォーマンスを視覚的に楽しむことができる重要な作品となっています。ビデオでは、黒と白のタキシードに黒い蝶ネクタイを身に着けたマイケルが笑顔で歌い踊る姿が映し出され、背景には抽象的な幾何学模様が使われており、独特の雰囲気を醸し出しています。また、一部のシーンではマイケルが3人に分裂して踊る演出があり、これは当時としては革新的な映像技術のひとつと評価されています。このミュージックビデオは『ビデオ・グレイテスト・ヒッツ〜ヒストリー』や『ナンバー・ワンズ』、『マイケル・ジャクソン VISION』にも収録されています。

ライブパフォーマンス

マイケルは「今夜はドント・ストップ」を多くのライブパフォーマンスでも披露しました。ザ・ジャクソンズのデスティニー・ツアーやトライアンフ・ツアーなどで取り上げられ、そのエネルギーあふれるパフォーマンスで観客を魅了しました。また、Bad World Tourではアレンジされたバージョンが「バッド・グルーヴ」のインタールードに組み込まれ、1996年から1997年にかけて行われたHIStory World Tourのメドレーでも「ロック・ウィズ・ユー」や「オフ・ザ・ウォール」と共に演奏されました。さらに、THIS IS ITでも「オフ・ザ・ウォール」メドレーの一部として披露される予定でしたが、悲しいことにマイケルの急逝によってこのショーは実現しませんでした。

チャートパフォーマンスと認定

「今夜はドント・ストップ」は、その評価を受けて多くの国でヒットを記録し、数々の認定を受けています。特にアメリカでは、ローリングストーン誌の選定した「500 Greatest Songs of All Time」でも取り上げられ、マイケル・ジャクソンの音楽における地位を再確認されています。さらに、彼の音楽は現在でも多くのアーティストに影響を与え続けており、音楽史における重要な作品の一つとして語り継がれています。

その他の記録

2009年6月30日、スペイン・バルセロナのカンプ・ノウ・スタジアムで行われたU2のコンサートにおいて、マイケルを称えた「エンジェル・オブ・ハーレム」の最後に「マン・イン・ザ・ミラー」と「今夜はドント・ストップ」の一節が演奏される場面もあり、彼の影響力の大きさが伺えます。

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