今度の日曜日に

今度の日曜日に：異国の地で芽生える友情と成長の物語

2009年に公開された日本映画『今度の日曜日に』は、韓国から長野の大学に映像留学に来たチェ・ソラという女性の物語を描いています。彼女は、憧れの先輩であるイ・ヒョンジュンを追いかけて日本に来たものの、先輩が家庭の事情で韓国へ帰国することになり、一人ぼっちになってしまいます。言葉の壁や文化の違い、そして故郷を遠く離れた寂しさの中で、ソラは戸惑いと葛藤を抱えながら、新しい生活に適応しようと奮闘します。

そんな中、大学のトイレで出会ったのが、ドジで人懐っこい用務員の松元茂です。一見すると無愛想で不器用な松元ですが、彼の優しさや誠実さは、次第にソラの心を温めていきます。ソラは大学の課題として「興味の行方」というテーマを選び、松元を被写体として取材を始めます。

取材を通して、ソラは松元の仕事への情熱や、普段は口にしない心の内側を知っていきます。松元は一見平凡な人物に見えますが、彼の日常には、大学という閉ざされた空間の中で静かに息づく人間ドラマが隠されていました。ソラは松元との交流の中で、日本社会や文化に対する理解を深め、自身のアイデンティティについても考え始めるようになります。

一方、ソラは日本の学生たちとも交流を深めます。伊坂美奈子や大村敦史など、個性豊かな友人たちとの出会いは、彼女の日本での生活をより豊かなものにしていきます。友情や恋愛、そして将来への漠然とした不安など、ソラは様々な感情と向き合いながら、少しずつ成長していきます。

映画は、ソラと松元、そして周りの人々との触れ合いを通して、異文化交流や人間関係の大切さを丁寧に描いています。言葉が通じなくても、心を通わせることはできる。一見異なる立場の人々同士が、互いの違いを認め合い、理解し合うことで、温かい友情が芽生える様子は、観る者の心を優しく包み込みます。

市川染五郎演じる松元と、ユンナ演じるソラの繊細な演技は、物語に深みを与えています。その他、ヤン・ジヌ、チョン・ミソン、大和田美帆といった実力派俳優陣の熱演も見どころです。けんもち聡監督による脚本と演出は、登場人物たちの心の機微を丁寧に描き出し、観る者に感動と共感を呼び起こします。

『今度の日曜日に』は、単なる青春映画という枠を超えた、普遍的なテーマを描いた作品です。異国での生活、友情、成長、そして人生の意味を問いかけるこの映画は、きっとあなたの心に深く響くでしょう。105分の上映時間を通して、ソラと共に喜び、悩み、そして成長していく、忘れられない時間となるはずです。

スタッフ

監督：けんもち聡
脚本：けんもち聡
プロデューサー：小澤俊晴、恒吉竹成、植村真紀、斎藤寛朗
助監督：荻野馨
撮影：猪本雅三
美術：野口隆二
音楽：渡辺善太郎
照明：赤津淳一
録音：浦田和治
製作・配給：ディーライツ

キャスト

松元茂：市川染五郎
チェ・ソラ：ユンナ
イ・ヒョンジュン：ヤン・ジヌ
ハ・スジョン：チョン・ミソン
伊坂美奈子：大和田美帆
大村敦史：中村俊太
神藤光司：竹中直人
峯村リエ
樋口浩二
谷川昭一朗
* 上田耕一

主題歌

「虹の向こう側」／ユンナ

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