今日までそして明日から (曲)

「今日までそして明日から」

吉田拓郎の楽曲「今日までそして明日から」は、1971年7月21日にCBSソニーから発売された彼の3枚目のシングルであり、フォーク音楽の代表的な作品として広く知られています。この曲は、拓郎がCBSソニーへ移籍後最初にリリースしたシングルでもありました。

発売当初は宣伝活動が十分に行われず、売上は期待に届かなかったものの、拓郎のステージでのパフォーマンスを通じて徐々に人気を集めていきました。特に1972年に公開された映画『旅の重さ』や、2001年のアニメ映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』などに楽曲が使用されたことが、より多くの視聴者にこの曲を届けるきっかけとなりました。

歌詞の観点

この曲の歌詞は、「わたしは今日まで生きてきました」ではなく「わたしは今日まで生きてみました」と表現されています。これは、自己反省や内面的な葛藤を示す禅問答のような形であり、聴く者に深く考えさせる意図が込められていると言えます。また、拓郎が在学していた旧広島商科大学では、後にこの曲の歌碑が建立されたことからも、彼の歌が地域や文化に与える影響の大きさを伺えます。

シングルとアルバムの詳細

シングルのB面に収録されている「ともだち」は、記録的なライブアルバム『よしだたくろう オン・ステージ ともだち』にも収められています。ただし、シングルバージョンでは観客の拍手が入る前に曲がフェードアウトするなど、アルバムとは違う演出が施されています。

評価と反響

この楽曲は、特にフォークシンガーとしての拓郎の位置づけを再評価する要素を持っています。その一方で、1971年の読売新聞文化部による批判的なレコード評では、「歌詞が分かりづらい」として否定的に評価されるなど、賛否が分かれました。この時期、パチンコ店では歌謡曲が主流だった中で、「今日までそして明日から」が流れたことは、当時のフォークファンにとって衝撃的な体験だったとされています。

拓郎自身は、自らの音楽的立場を明確にし、「結婚しようよ」や「旅の宿」といった他の楽曲をもって、フォークソングと歌謡曲の間での自己の位置づけを示しました。これにより、聴衆との新たなダイナミズムが生まれました。

影響を受けたアーティスト

「今日までそして明日から」は多くのアーティストにもカバーされており、杉田二郎やCocco、和田アキ子などがその代表例です。これらのアーティストがこの曲を再解釈し、現代のリスナーに届けることで、拓郎の音楽は世代を超えた影響力を持っています。

このように「今日までそして明日から」は、時代を超えて多くの人々の心に響く作品であり、吉田拓郎の音楽キャリアにおける重要な一曲と位置づけられています。

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