今村清之助

今村清之助：激動の時代を駆け抜けた実業家、鉄道王

今村清之助（いまむら せいのすけ）は、嘉永2年（1849年）に信濃国伊那郡（現在の長野県下伊那郡高森町）で生まれ、明治35年（1902年）に54歳で没した人物です。彼は、日本の黎明期において、実業家、鉄道家として目覚ましい活躍を見せました。

苦難を乗り越え、横浜で頭角を現す

幼少の頃は家運が傾き、貧しい生活を送りました。16歳で一念発起し、横浜へ。当初は苦労の連続でしたが、持ち前の才覚と不屈の精神で、生糸の買い付けや洋酒の販売で成功を収め、次第に財を成していきます。

株式取引所設立に尽力

明治10年代には、金穀相場会社での仲買人としての活動を通じて、その名を轟かせます。そして、日本初の株式取引所設立に向け、渋沢栄一、福地源一郎らと共に奔走。日本の資本主義の礎を築く上で、大きな役割を果たしました。

鉄道事業への情熱

清之助は、欧米視察を通じて鉄道事業の重要性を痛感。帰国後、両毛鉄道、九州鉄道、関西鉄道、参宮鉄道、山陽鉄道など、数々の鉄道設立に尽力しました。その結果、彼は鉄道会社の重役や大株主として、鉄道業界の重鎮として君臨しました。

今村銀行の設立と晩年

明治21年（1888年）には、資本金25万円で今村銀行を設立。明治23年の恐慌時には、安値で株を買い集め、その後の景気回復で莫大な利益を得たと言われています。今村銀行は、彼の金融家としての手腕を示す象徴的な存在となりました。

今村清之助は、胃癌により54歳という若さでこの世を去りましたが、その波乱万丈な人生と、日本の経済発展に貢献した功績は、今もなお語り継がれています。彼の設立した「角丸証券」は、兜町の老舗としてその名を残しています。

家族

今村清之助は多くの子に恵まれました。

今村繁三: 次男。銀行家として活躍しました。
井上周: 三男。東洋製紙の会長井上保次郎の娘婿となり、自身も東洋製紙の社長などを歴任しました。
今村英祐: 四男。今村銀行の社員として父の事業を支えました。
今村信吉: 五男。江東楽天地の社長を務めました。
今村庄之助: 長男。

娘婿には、串田万蔵、松井慶四郎、渡辺龍聖がいます。

参考文献

ダイヤモンド1968年新年特別号 生形要「兜町100年の浮き沈み」
大阪産経新聞連載 登美三郎「賭ける人生」
足立栗園「今村清之助君事歴」

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