今泉吉晴

今泉吉晴（いまいずみ よしはる）は、1940年生まれの日本の動物学者、著作家、翻訳家です。都留文科大学の名誉教授であり、日本動物学会、日本動物行動学会、日本哺乳動物学会の会員でもあります。動物学者の今泉吉典を父に持ち、弟には同じく動物学者の今泉忠明がいます。また、甥の今泉勇人も動物生態研究者という、まさに動物一家で育ちました。

今泉氏は、1965年に東京農工大学農学部獣医学科を卒業後、東京大学大学院を修了。その後、長岡市立科学博物館の学芸員、国際基督教大学の助手、都留文科大学の助教授、教授を経て、2004年には同大学に設置された地域交流研究センターの初代センター長を務めました。1980年には京都大学で理学博士号を取得しています。

専門は動物生態学、環境教育論であり、特にモグラやネズミなどの小動物の生態・行動を中心に研究活動を展開してきました。また、1978年頃からは山梨県都留市でムササビと森を守る運動の主唱者としても活動し、「都留市フィールド・ミュージアム」構想を推進しました。

今泉氏の研究スタイルは、動物を研究室内で観察するのではなく、動物たちの実際の生息地に身を置き、観察を通じて知識を深めるというものです。この独自のスタイルは、今泉氏の著書にも色濃く反映されています。

著書には、『動物の図解』、『ネコの探求』、『犬の世界』、『ムササビ 小さな森のちえくらべ』、『モグラ 地下の宇宙ステーション』などがあります。これらの著作を通して、動物たちの生態や行動をわかりやすく解説し、自然科学への関心を広げています。

翻訳家としても数多くの作品を手がけており、『シートン動物記』や『ウォールデン 森の生活』などの名作を日本語に翻訳しました。特に『シートン動物記』は、子供たちに自然を愛する心を育む上で大きな役割を果たしています。

今泉氏の功績は、数々の賞にも表れています。1984年には『ムササビ 小さな森のちえくらべ』で日本科学読みもの賞、1999年には『シートン動物誌』全12巻で日本翻訳出版文化賞、2003年には『シートン 子どもに愛されたナチュラリスト』で小学館児童出版文化賞を受賞しました。

今泉氏は、研究者としてだけでなく、自然保護活動家、そして著作家、翻訳家として、多岐にわたる分野で活躍し、その知識と情熱で多くの人々に自然の素晴らしさを伝えています。

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