今金男しゃく

今金男しゃくとは

今金男しゃく（いまかねだんしゃく）は、北海道今金町で生産される男爵イモのブランドであり、地域団体商標としても登録されています。2019年には地理的表示（GI）にも登録され、男爵イモとしては唯一のGI登録となっています（2022年時点）。

特徴

今金町は、昼夜の寒暖差が大きいジャガイモの栽培に適した土地です。この恵まれた気候条件と、生産者のたゆまぬ努力によって、今金男しゃくはデンプン質を豊富に含み、甘くてホクホクとした食感に育ちます。そのデンプン含有量は、男爵イモの平均よりも約1割も多いとされています。また、外観も美しく、皮が白く、色艶が良いのも特徴です。さらに、品質のばらつきが少なく、形状も優れているため、皮を剥いた際の歩留まりが高いことも特筆すべき点です。

味の評価も非常に高く、東京の市場では40年以上にわたり、最高ランクの価格で取引されています。他の産地の男爵イモと比較して2割以上も高値で取引されることもあります。日本全国のジャガイモ生産量の中で、今金男しゃくの生産量はわずか0.3%であることから、「幻のジャガイモ」とも評されています。

歴史

今金町でのジャガイモ栽培は、1891年（明治24年）に始まりました。1953年（昭和28年）には、男爵イモが北海道の優秀品種に選定されたことを受け、今金町では作付けするジャガイモを男爵イモに統一しました。これにより、品質が均一なジャガイモの出荷が可能となり、1955年（昭和30年）から「今金男しゃく」の名前で出荷が開始されました。

2005年（平成17年）には、今金男しゃくのロゴ商標が登録され、2018年（平成30年）3月には地域団体商標に登録されました。さらに、2019年9月には地理的表示（GI）にも登録され、ブランドとしての地位を確立しました。2020年（令和2年）には、今金町が全額補助する形でリアルタイムキネマティックGPS（RTK）基地局が設置され、スマート[[農業]]を推進しています。これにより、今金男しゃくの栽培における省力化や、生産者の高齢化対策が進められています。2021年度からは、RTK基地局を活用するための農作業機器導入に対して、今金町が補助金を出す事業も実施されています。

生産への取り組み

今金男しゃくのデンプン含有量が高い理由は、気候条件だけでなく、生産者の様々な工夫にもよります。収穫前には土壌検査を行い、土壌に合わせた肥料を調整します。また、収穫適期から1週間ほど収穫を遅らせることで、デンプン含有量をさらに高めています。これらの徹底した生産管理は、GI登録にも繋がっています。

今金男しゃくオーナー制度

今金男しゃくは、生産量の9割以上が東京などの関東地方に出荷されるため、北海道での認知度は低く、道民が口にする機会は少ないのが現状でした。そこで、GI登録を機に、今金町は情報発信と地産地消を促進するため、2021年6月に「今金男しゃく道民サポーターズクラブ」を設立し、道民限定のオーナー制度を開始しました。オーナーになると、今金男しゃく3キログラムの他、JA今金町オリジナルの黒毛和牛カレーなど、加工品詰め合わせが送付されます。

ポテトチップス今金男しゃく

湖池屋では、2015年から、その年の秋に収穫された今金男しゃくの新ジャガイモのみを使用した「ポテトチップス今金男しゃく」を製造・販売しています。このポテトチップスは非常に人気が高く、毎年9月に湖池屋のオンラインショップと今金町のスーパーマーケットで予約販売が行われますが、10月には完売するほどの人気ぶりです。

2019年に当時の今金町長が北海道知事へGI登録報告のため訪問した際、お土産としてこのポテトチップスを持参したというエピソードも残っています。その際、知事が「新聞とテレビで見たが、実物は初めて」とコメントしたのに対し、町長が「（産地の）町長でも3枚しか食べていない」と自虐的に返したという逸話も残っています。オーナー制度でも、ポテトチップス今金男しゃくが特典として送付されます。

今金男しゃくは、その品質と希少性から、多くの人々を魅了するジャガイモとして、今後も注目を集めることでしょう。

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