介護保険法

介護保険法とは

介護保険法（平成9年法律第123号）は、高齢化社会における要介護者等を対象に、介護保険制度を設け、必要な保険給付を行うことを目的とした法律です。この法律は、高齢者の尊厳を保持し、自立した日常生活を支援することを基本理念としています。

介護保険法の構成

介護保険法は、以下の章で構成されています。

第1章：総則
法律の目的や基本理念などが定められています。
第2章：被保険者
介護保険の対象となる被保険者の範囲が定められています。
第3章：介護認定審査会
要介護度の判定を行う機関について定められています。
第4章：保険給付
介護サービスの種類や内容、給付の手続きなどが定められています。
第1節：通則
第2節：認定
第3節：介護給付
第4節：予防給付
第5節：市町村特別給付
第6節：保険給付の制限等
第5章：介護支援専門員並びに事業者及び施設
介護サービスを提供する事業者や施設の基準、介護支援専門員（ケアマネジャー）の役割などが定められています。
第1節：介護支援専門員
第2節：指定居宅サービス事業者
第3節：指定地域密着型サービス事業者
第4節：指定居宅介護支援事業者
第5節：介護保険施設
第1款：指定介護老人福祉施設
第2款：介護老人保健施設
第3款：指定介護療養型医療施設
第6節：指定介護予防サービス事業者
第7節：指定地域密着型介護予防サービス事業者
第8節：指定介護予防支援事業者
第9節：業務管理体制の整備
第10節：介護サービス情報の公表
第6章：地域支援事業等
地域における介護予防や生活支援に関する事業について定められています。
第7章：介護保険事業計画
市町村が策定する介護保険事業計画について定められています。
第8章：費用等
介護保険の費用負担や財政に関する事項が定められています。
第1節：費用の負担
第2節：財政安定化基金等
第3節：医療保険者の納付金
第9章：社会保険診療報酬支払基金の介護保険関係業務
第10章：国民健康保険団体連合会の介護保険事業関係業務
第11章：介護給付費等審査委員会
第12章：審査請求
第13章：雑則
第14章：罰則
附則

介護保険法の改正

介護保険法は、社会情勢の変化や高齢化の進展に合わせて、これまで何度も改正が行われてきました。主な改正点としては、以下のものがあります。

2005年改正
予防給付の導入：要支援・要介護状態にならないように「介護予防」を重視した施策が導入されました。
地域支援事業の創設：地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みが始まりました。
地域密着型サービスの創設：小規模多機能型居宅介護や夜間対応型訪問介護などが導入されました。
地域包括支援センターの創設：高齢者が住み慣れた地域で包括的なサービスを受けられるようにするための拠点として設置されました。
2008年改正
介護サービス事業者の不正防止と運営の適正化を目的とした改正が行われました。
業務管理体制の義務付けや、国・都道府県・市町村による立ち入り捜査権の創設などが盛り込まれました。
2011年改正
医療と介護の連携強化、介護人材の確保と質の向上、高齢者の住まいの整備、認知症対策の推進などが盛り込まれました。
24時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスが創設されました。
2014年改正
地域包括ケアシステムの構築と医療・介護の連携がさらに推進されました。
特別養護老人ホームの入居対象が原則として要介護3以上に限定されるようになりました。
2017年改正
高齢者の自立支援と重度化防止、地域共生社会の実現を目指した改正が行われました。
介護医療院の創設や、共生型サービスの創設などが盛り込まれました。
2020年改正
地域共生社会の実現、認知症施策の推進、地域支援事業における介護関連データの活用などが盛り込まれました。

介護保険法の歴史的背景

介護保険法は、従来の老人福祉法や老人保健法が抱えていた問題点を解消するために制定されました。特に、高齢者の社会的入院の増加や、介護分野における新たな社会保険方式の必要性が背景にありました。

地域保健における介護保険

介護保険は、市町村が直接住民に行う制度であり、老人保健や母子保健とは主体が異なります。この点が、介護保険制度の特徴の一つです。

介護保険に関わる資格

介護保険制度には、多くの専門職が関わっています。主な資格としては、以下のようなものがあります。

医師
歯科医師
保健師
看護師
准看護師
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
社会福祉士
精神保健福祉士
介護福祉士
介護支援専門員（ケアマネジャー）
訪問介護員（ホームヘルパー）
移動介護従業者（ガイドヘルパー）

まとめ

介護保険法は、高齢化社会における介護ニーズに対応するための重要な法律です。制度の円滑な運用と、より質の高い介護サービスの提供のため、今後の動向にも注目していく必要があります。

関連項目

介護
保険
高齢者
介護保険制度
訪問看護
老人福祉施設
日本ケアマネジメント学会
公衆衛生

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