仕丁

仕丁（しちょう）

概要

仕丁とは、奈良時代の律令制度において、人民に課せられた労役の一つです。具体的には、各里（50戸で構成される行政単位）から選出された正丁（成人男性）が、都の官庁や施設で一定期間、労務を提供する義務を負いました。

制度の詳細

律令制度下では、全国の里ごとに、2名の正丁が3年間徴用されました。このうち1名は「立丁（りっちょう）」と呼ばれ、実際に労務を提供する役割を担いました。もう1名は「廝丁（しちょう）」と呼ばれ、立丁の炊事や身の回りの世話など、立丁の活動をサポートする役割を担いました。

廝丁は、立丁の活動を円滑にするために不可欠な存在であり、彼らの存在によって、立丁は労務に専念することができました。また、仕丁として徴用された期間中の生活費は、彼らを送り出した里が負担しました。これは、仕丁の労務が国全体のために必要とされたため、その費用も地域全体で負担するという考え方に基づいています。

仕丁の活動

仕丁は、主に在京の各官庁に配置され、様々な労務に従事しました。その中でも特に重要な役割を果たしたのが、都の造営事業です。宮殿や寺院、道路などの建設には、膨大な労力が必要とされましたが、仕丁はその重要な労働力となりました。

彼らは、土木作業や資材の運搬など、力仕事を中心に担当し、都の建設に大きく貢献しました。また、官庁内での雑務や、その他の様々な作業も担当し、律令国家の運営を支える上で、欠かせない存在でした。

雑徭との関連

仕丁は、同じく律令制度下における労役である「雑徭（ぞうよう）」と関連付けて理解されることがあります。雑徭は、特定の期間や場所にとらわれず、臨時に課せられる労役であり、仕丁とはその性質が異なります。しかし、どちらも国家運営に必要な労働力を提供するという点では共通しており、当時の人々の生活における労役負担の一端を示すものと言えるでしょう。

まとめ

仕丁は、奈良時代の律令制度を支えた重要な制度であり、当時の社会構造や労働観を理解する上で、欠かせない要素です。里の人々が、国のために労務を提供するという、律令国家のあり方を象徴する制度であると言えるでしょう。

参考資料

* [コトバンク]]：[『仕丁』

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