付柱

付柱（つけばしら）、あるいはピラスター（Pilaster）とは、建築において壁面に付加される装飾的な柱のことです。これは、壁に貼り付けられたり、壁の一部として埋め込まれたりする形で存在します。しばしば柱頭（キャピタル）やエンタブラチュアといった他の建築要素と組み合わせて使用され、建物に古典的な風格と視覚的な奥行きを与えます。

付柱は、特にヨーロッパの古典様式の建築において顕著に見られる意匠です。その主な役割は、力学的な支えのように見える外観を創出することであり、実際の構造的な支持機能は持ちません。この点で、壁や屋根を実際に支えるために用いられる控え壁とは根本的に異なります。付柱は、あくまで建物の美観を高めるための装飾要素としての役割を担っています。

付柱は、建物のファサード（正面）において、ドアや窓の両側に設置されることがよくあります。また、ポーチコ（ポルチコ）のように、ドアから少し離れた位置で屋根を支える柱に付随して用いられることもあります。さらに、出入口の周囲に施された彫刻的なアーチであるアーキボルトを支える役割を果たすこともあります。

付柱の断面形状は、シンプルな長方形である場合もあれば、古典様式を模倣して溝が彫り込まれたものもあります。溝が彫られた付柱は、古典建築の柱の意匠を忠実に再現し、建物の歴史的・文化的価値を高める効果があります。付柱は、古代ギリシアや古代ローマの建築で広く用いられており、その伝統は、イタリア・ルネサンス建築や19世紀のギリシア復興様式の建築にも受け継がれています。

付柱の代わりに、エンタブラチュア（柱の上部構造）やバルコニーを支えるためにブラケット（持ち送り）が用いられることもあります。ブラケットは、付柱と同様に装飾的な要素として機能する一方、構造的な支持の役割も果たすことができます。しかし、付柱はあくまで視覚的な効果を目的とした装飾要素であるという点が、これらの要素との最も大きな違いと言えるでしょう。

付柱は、その歴史的背景と装飾的な魅力から、建築デザインにおいて重要な役割を果たしています。建物の外観を美しく飾るだけでなく、古典的な雰囲気や歴史的重厚感を演出する上で、欠かせない要素の一つです。

関連事項

* 真壁 (建築):日本の伝統的な建築様式の一つで、柱が壁の表面に露出している構造のことです。付柱とは異なり、構造的な役割も果たします。

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