仙台幼児誘拐殺人事件

仙台幼児誘拐殺人事件

1964年12月21日、宮城県仙台市で発生した痛ましい幼児誘拐殺人事件。一人の幼い命が、金銭欲に駆られた男によって奪われました。この事件は、当時の社会に大きな衝撃を与え、人々の心に深い傷跡を残しました。

事件の概要

仙台市に住む5歳の男児は、自宅にかかってきた電話に出ました。電話の相手は、通園先の幼稚園の外国人神父が帰国するので記念写真を撮影するため幼稚園に来てほしいと告げました。男児が幼稚園へ向かうと、乗用車に乗った男が現れ、男児を連れ去りました。

男は男児を車で連れ回すうち、男児は泣き出し、暴れ出しました。男児が助手席で立ち上がった際、男は首を掴んで揺さぶり、男児は失神。男は男児を車のトランクに入れ、ロープで首を絞めて殺害しました。男は身代金を要求する電話をかけましたが、繋がりませんでした。帰宅後、男は男児の遺体を物置に放置し、改めて母親に500万円の身代金を要求する電話をかけました。そして、指定した場所に現金を受け取りに現れたところを逮捕されました。

犯人の背景

犯人は1935年に仙台市で生まれ、犯行当時29歳。かつて「天津 七三郎」の芸名で映画俳優をしていました。しかし、俳優業は長くは続かず、借金 problems により帰郷。その後、事業を始めるも失敗し、借金は増え続けました。追い詰められた男は、以前手形の期日延長を申し入れた際に知り合った被害者の父親から金を奪うことを考え、犯行に及んだのです。犯行の着想には、前年に発生した吉展ちゃん誘拐殺人事件も影響していたとされています。

裁判の経過

一審の仙台地方裁判所は、検察側の死刑求刑に対し、男の生い立ちや殺害が偶発的であったことなどを考慮し、無期懲役を言い渡しました。しかし、二審の仙台高等裁判所は一審判決を破棄し、死刑判決を下しました。裁判所は、男の犯行は計画的であり、酌量の余地はないと判断しました。男は上告しましたが、1968年に死刑が確定。1974年7月5日、死刑が執行されました。

この事件は、誘拐罪に対する罰則強化のきっかけともなりました。幼い命を奪った罪は、決して許されるものではありません。事件の教訓を胸に、二度とこのような悲劇が繰り返されないよう、社会全体で取り組んでいく必要があります。

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