仙台火力発電所

仙台火力発電所

宮城県宮城郡七ヶ浜町に所在する、東北電力が運営する天然ガス火力発電所。

七ヶ浜半島の先端部、特別名勝である松島の一部（第2種保護地区）に立地しており、周辺の美しい景観に配慮した設計が特徴です。主に宮城県内を含む東北電力管内へ電力を供給しています。

この発電所の歴史は1959年（昭和34年）に1号機が運転を開始したことに遡ります。その後、増設により3号機まで建設され、当初は石炭や重油を燃料とする汽力発電方式が採用されていました。これらの初期設備は40年以上にわたり稼働しましたが、老朽化に伴う発電効率の低下や二酸化炭素排出量の問題、そして発電コスト削減の必要性から、順次廃止されることとなりました（3号機が2004年、1・2号機が2007年に廃止）。

旧設備の廃止と入れ替わる形で、新たな主力設備として4号機が建設されました。これは、天然ガスを燃料とし、排熱を効率的に利用する1,400℃級のコンバインドサイクル発電方式を採用したものです。この方式により、旧来の石炭火力と比較して二酸化炭素排出量を半分以下に削減すると同時に、熱効率も約58%（低位発熱量基準）と非常に高く、このクラスでは世界最高水準を達成しています。4号機は2010年（平成22年）7月に営業運転を開始しました。燃料である天然ガスは、遠く離れた新潟県のLNG基地から総延長251kmにも及ぶパイプラインを通して供給されています。

4号機の建設にあたっては、東北電力で初めて「リプレース工法」が採用されました。これは、旧設備を撤去する作業と並行して新設備の建設を進める方式です。また、冷却水の取水・放水路については、廃止された1号機から3号機で使用されていた水路を有効活用しています。

景観との調和も本発電所の重要な特徴です。タービン建屋などの外観は、松島の風光明媚な景色に溶け込むよう、「瓦葺き屋根」と「白壁造り」をイメージしたデザインが採用されました。さらに、航空法による高さ制限（60m超の建造物は航空機からの視認性確保のため塗装などの義務がある）をクリアするため、最も高い排気口でも高さを59mに抑える工夫がなされています。

2011年（平成23年）3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震（東日本大震災）では、発電所も大きな被害を受けました。地震発生直後に4号機は自動停止し、その後、津波によって建屋の1階部分が冠水しました。一時、発電を停止していましたが、懸命な復旧作業が進められ、当初の目標よりも前倒しとなる2011年12月20日には試運転を再開。翌2012年2月8日には営業運転を完全に再開しました。

震災からの復旧後も設備の改善は続けられており、2017年4月1日には、これまでの運転実績に基づきガスタービンの出力制御プログラムを修正することで、4号機の定格出力を44.6万kWから46.8万kWへ増強しました。これにより、発電所全体の総出力も46.8万kW（2017年4月1日現在）となっています。

敷地面積は約34万m²に及び、構内にはメガソーラー発電所である「仙台太陽光発電所」も設置されています。この太陽光発電所は約2,000kW（2MW）の出力があり、2012年5月25日に運転を開始しました。これは、多結晶シリコン型の太陽電池モジュールを使用しています。

このように、仙台火力発電所は、最新の高効率・低環境負荷型発電設備への転換、周辺景観への配慮、そして未曽有の自然災害からの力強い復旧を経て、地域の電力安定供給に貢献しています。

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