仙台裸参り

仙台裸参り

仙台裸参りは、宮城県仙台市で毎年1月頃に行われる伝統的な行事です。参加者は、一年で最も寒い時期に、上半身を裸に近い格好で神社に参拝します。この行事は、大崎八幡宮の松焚祭（どんと祭）から広まったとされ、宮城県各地のどんと祭と深く結びついています。

起源と歴史

仙台裸参りの起源は、南部杜氏をはじめとする酒造業にあると考えられています。江戸時代後期の資料には、既に裸参りの様子が記録されており、国分町にあった造り酒屋「菅原家」との関連も指摘されています。当初は酒造業者の安全祈願として行われていたものが、次第に一般の人々にも広がり、「暁詣で」という民衆習俗と融合していきました。

仙臺始源: 仙台周辺の「裸参り」の初出。
奥羽一覧同中膝栗毛: 大崎八幡宮の参詣の様子が記述。
* 仙臺年中行事絵巻: 注連縄と鉢巻き姿の男性が描かれ、「裸まうて（で）」と注記。

大崎八幡宮松焚祭（どんと祭）との関係

大崎八幡宮の松焚祭は、神道的儀礼と民俗的要素が組み合わさった祭りです。参拝者が持ち寄った注連縄や松飾りを境内で燃やす「どんと」は、西日本の「左義長」などと同様の行事と考えられています。裸参りは、この松焚祭に欠かせない要素となっており、神聖な存在として来訪神化・まれびと化している側面も感じられます。

酒造業との関連

裸参りは、酒造りの安全を祈願する行事として、酒造業者や杜氏によって行われてきました。仙台の造り酒屋である菅原家が醸造の安全を祈願したのが始まりという説や、南部杜氏が出稼ぎに来て裸参りを始めたという説があります。かつて大崎八幡宮の氏子総代であった天賞酒造は、特に裸参りとの関係が深く、蔵人が裸参りに参加していました。

岩手県紫波町でも同様に、酒蔵や醤油蔵に勤める若者が醸造安全を祈願して裸参りを行う習慣がありました。これらのことから、裸参りは南部杜氏の伝統行事として、新酒奉納のために行われていたと考えられています。

裸参りの変容

1960年代以降、酒造業以外の団体も宣伝目的で参加するようになり、日本酒の消費量減少に伴い酒造業者が減少しました。天賞酒造も2004年を最後に裸参りに参加しなくなったため、2006年には市民有志によって「仙臺伝統裸参り保存会」が結成され、伝統的な作法を継承しています。

近年の状況

1992年のピーク時には200団体7,500人が参加しましたが、その後は減少傾向にあります。2021年には、新型コロナウイルスの感染拡大により、参加者は大幅に減少しました。

現在でも仙台裸参りは、地域に根ざした伝統行事として、多くの人々に支えられています。

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