代物弁済

代物弁済とは

代物弁済とは、債務者が負っている債務の弁済として、本来の給付の代わりに、債権者の承諾を得て他の給付を行うことで、その債務を消滅させることを目的とする契約です（民法482条）。

代物弁済の要件

代物弁済が成立するためには、以下の要件を満たす必要があります。

1. 当事者間に有効な債務が存在すること
もし債務が存在しない場合、目的物の移転は非債弁済となり、代物弁済としての効果は生じません。
2. 弁済に代わる給付であること
旧債務の消滅と同時に新たな債務が成立する場合は、代物弁済ではなく更改とみなされます。
3. 債権者の承諾があること
代物弁済は、債務者と債権者の合意によって成立する契約です。

民法改正による変更点

2017年の民法改正（2020年4月1日施行）により、代物弁済は要物契約から諾成契約へと変更されました。改正前は、実際に代物の給付が行われて初めて代物弁済が成立するとされていましたが、改正後は当事者間の合意のみで成立するようになりました。

代物弁済の効果

代物弁済が成立すると、債務は消滅します。ただし、債務の消滅時期については、「弁済者が当該他の給付をしたとき」と明記されており、代物の給付があって初めて債権が消滅することが明確化されました。不動産が代物として給付される場合、登記を行うことで第三者に対する対抗要件を備える必要があります。

担保責任

代物弁済は有償契約の一種であるため、売買契約における担保責任の規定（民法560条以下）が準用されます。これは、代物として提供されたものに瑕疵があった場合、債権者が債務者に対して責任を追及できることを意味します。

代物弁済予約

代物弁済予約とは、債務者が債務を弁済できない場合に、担保として提供した目的物によって代物弁済を行うことを事前に約束する契約です。狭義には、債権者が予約完結権を行使して担保目的物の所有権を取得する場合を指します（民法556条、559条）。広義には、停止条件付代物弁済契約を含みます。

停止条件付代物弁済予約

停止条件付代物弁済予約とは、債務の弁済期に弁済が行われない場合、担保目的物の所有権が自動的に債権者に移転するという契約です。これは、仮登記担保などで用いられることがあります。

関連項目

弁済
仮登記担保
仮登記担保契約に関する法律

代物弁済は、債務整理や担保設定など、様々な場面で利用される重要な契約です。その法的性質や要件を正確に理解しておくことが重要です。

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