令和元年台風第28号

令和元年台風第28号（カンムリ）

令和元年台風第28号（アジア名：カンムリ、フィリピン名：ティソイ）は、2019年11月に発生した強い台風で、フィリピンに上陸し大きな影響を与えました。台風の形成は11月24日頃、マーシャル諸島近海で始まりました。最初は低圧部として発生し、同日21時には熱帯低気圧に発達しました。さらに、25日には合同台風警報センター（JTWC）が熱帯低気圧形成の警報を発し、26日には台風28号として正式に名付けられました。この台風のアジア名「カンムリ」は、日本が命名したもので、かんむり座に由来しています。

台風は徐々に発達しながら西に進み、11月30日にはフィリピン大気地球物理天文局（PAGASA）がフィリピン名「ティソイ」と名づけました。台風は、当初はカテゴリー1の勢力でしたが、12月3日午前3時頃には、カテゴリー4の非常に強い勢力でルソン島に上陸しました。上陸時の最大風速は約49m/s、最大瞬間風速は約67m/sに達しました。その結果、ルソン島南部では1日に200mmを超える大雨が降り、ニノイ・アキノ国際空港は予防措置として閉鎖されました。さらに、台風は6日0時に熱帯低気圧に変わり、その後消滅しました。

この台風は、観測史上最も雲頂温度が低いことが確認され、マイナス109.4℃に達しています。また、11月に発生した台風は6個にのぼり、この数字は1991年以来28年ぶりの多さで、統計が始まった1951年以降の11月台風の発生数としては最多となりました。一般的に、11月の台風の平均発生数は2.3個です。

台風28号の影響により、フィリピンではルソン島を中心に合計で13人が命を落とし、約66,000人が避難を余儀なくされました。多くの地域で強風による倒木や家屋の損壊、洪水による浸水被害が報告されています。特に、ニノイ・アキノ国際空港の閉鎖時間は異例の12時間に達し、135校の学校が影響を受け、約1,200棟の住宅が倒壊しました。最大の被害が出た地域では、作物に約17億円の損失があったと推定されています。

台風のアジア名カンムリは、今回限りで使用が中止され、フィリピン名ティソイも同様の理由で使用が終了します。次の台風のフィリピン名は「タマラウ」に変更されることが決まっています。台風28号の襲来後、12月の後半にもフィリピンは台風29号による影響を受け、さらなる被害を被りました。

このように、令和元年台風第28号は、日本やフィリピンにおいて多くの重要な学びをもたらした災害であり、その影響は今後も忘れられることはないでしょう。

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