令和3年の大雪

2020年12月～2021年2月の大雪・暴風災害

2020年12月から2021年2月にかけて、北日本から西日本の日本海側を襲った大雪と暴風は、甚大な被害をもたらしました。特に1月前半の北陸地方では短時間に記録的な降雪を観測し、家屋の倒壊やインフラ麻痺が発生、除雪作業中の事故による多数の死傷者も出ました。12月と2月にも大雪に見舞われ、各地で車両や列車の長期にわたる立ち往生が相次ぎました。

気象状況

12月: 14日から21日にかけて強い冬型の気圧配置が続き、強い寒気が流れ込みました。北日本から西日本の日本海側で断続的に雪が降り、群馬県みなかみ町藤原では期間降雪量が291cmに達するなど、関東地方、北陸地方、東北地方の山地を中心に大雪となりました。群馬県藤原の48時間・72時間降雪量は観測史上全国1位を更新する記録的なものでした。

1月: 7日から8日にかけて、急速に発達した低気圧が日本海から北日本を通過し、その後強い寒気が流れ込みました。北日本から西日本にかけて広範囲で大雪と暴風が吹き荒れ、普段雪の少ない九州でも積雪が観測されました。新潟県高田では期間降雪量が213cmに達し、9日には24時間降雪量が103cmを観測、観測史上1位の記録を更新しました。秋田県八森では最大瞬間風速42.4m/sを観測するなど、猛烈な風も記録されました。

2月: 2月にも大雪に見舞われ、上越市高田では2月の12時間降雪量を更新しました。

原因

この大雪・暴風は、西シベリアのブロッキング高気圧やラニーニャ現象の影響が指摘されています。特に1月7日から20日頃まで続いた東北日本海側、北陸、山陰地方の大雪と低温は、高緯度帯と中緯度帯の偏西風が日本付近で南に蛇行し、強い寒気が流れ込みやすくなったことが要因と考えられます。北極域の極渦が分裂し、その一部が日本上空に流れ込んだことも影響を与えたとみられています。また、1月の大雪では風が弱まったことで、通常山間部へ流れる雪雲が平野部に停滞し、平野部での豪雪を招いたと考えられています（里雪）。この寒波はラニーニャ現象によるものであり、夏季には北日本で平年を上回る猛暑となりました。

災害の経過

12月: 強い冬型の気圧配置により、日本海側を中心に記録的な大雪となりました。年末年始にかけて寒波が流れ込み、秋田県では48時間・72時間降雪量記録を更新しました。

1月: 日本海側を中心に平野部でも記録的な大雪となり、7日には顕著な大雪に関する気象情報が初めて発表されました。

2月: 17日に大雪となり、上越市高田では2月としての12時間降雪量を更新しました。

被害と影響

死傷者・建物被害: 12月の大雪では死者6名、負傷者多数、住宅被害281棟。1月の大雪では死者21名、負傷者多数、住宅被害多数、さらに国の重要文化財を含む文化財被害も発生しました。

道路交通: 高速道路や国道で長時間にわたる大規模な立ち往生が発生しました。

公共交通: 新幹線、在来線、路線バス、高速バスなどが大規模に運休。航空機も多数欠航しました。特に上越市では公共交通機関がほぼ全線で停止する事態となりました。

電力・水道: 大規模な停電と断水が発生しました。

農林水産業: ビニールハウスの倒壊や果樹の被害などが発生しました。

社会的影響: 上越市では市立小中学校、幼稚園が長期休校となり、ごみ収集も停止しました。物流が混乱し、食料品の品薄も発生しました。

対応

12月、1月の大雪に対し、災害救助法が適用されました。

記録的な数値

各地で観測史上最大となる積雪深、降雪量が記録されました。詳細は本文に記載されている表を参照ください。

まとめ

2020年12月から2021年2月にかけて発生した大雪・暴風災害は、記録的な降雪量、強風、そして長期化した交通機関の麻痺など、多方面にわたる甚大な被害をもたらしました。この災害は、気象状況、社会インフラ、防災対策など、様々な問題点を浮き彫りにしたといえるでしょう。今後の災害対策において、この災害からの教訓を活かすことが重要です。

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