仮面ライダー (小説)

小説『仮面ライダー』の概要

『仮面ライダー』は、特撮テレビドラマを基にした和智正喜の小説で、その魅力はただのノベライズにとどまらない独自の世界観にあります。この作品は、1960年代から70年代にかけての日本の特撮文化に深く根ざし、仮面ライダーの存在意義やキャラクターの運命を紐解いています。

この小説は、2002年に『誕生 1971』と2003年に『希望 1972』の2巻が刊行され、その後2009年に書き下ろしの完結編『流星 1973』が追加された完全版がエンターブレインによって出版されました。この完全版は、当初の2巻とは異なり、物語が完結する形になっています。

プロットの独自性

小説『仮面ライダー』の最大の魅力は、もし藤岡弘が事故に遭わなかった場合の物語を主軸に据えている点です。この視点により、本作の仮面ライダーは本郷猛のみが存在し、彼の成長と戦いを描くことにフォーカスしています。ショッカーとの戦いを通じて、本郷は改造人間としての運命を受け入れ、仲間と共に闘う姿が詳細に表現されています。

本作には、物語に新たな側面を加えるため、滝和也や一文字隼人に相当するキャラクターが登場し、強化服のバリエーションとしてV3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガーなどが設定されています。これにより、作品は単なるリメイクにとどまらず、オリジナルの要素を引き継ぎながらも、新たな物語が展開していくのです。

主要なキャラクターたち

本郷猛/仮面ライダー

本郷猛は、優れた頭脳を持ち、才能あふれる大学生です。日常を送っていた彼は、密かに恋する先輩美代子に騙されショッカーに捕らえられ、改造人間にされてしまいます。混乱の中で本郷は、先輩の意志を受け継ぎ、ショッカーに立ち向かう仮面ライダーとしての運命を全うする決意を固めます。60歳を過ぎた現在も、「サイクロン13」に搭乗し、戦い続けています。

ハヤト/仮面ライダー

ハヤトは、本郷に先立って改造された改造人間であり、彼の道を示す重要な存在です。ペルー出身の彼は、ジャーナリストとして世界を飛び回ったが、ショッカーに狙われて改造されます。失敗に終わった手術により短い命を背負い、本郷に仮面ライダーの名を与え、彼の戦いの背後に立つ重要な役割を果たします。

滝和也/〈弐番〉

滝は『誕生』においてはコードネームのみの登場でしたが、徐々に物語の重要キャラクターとして成長します。彼は忠誠心を持った指導者であり、本郷や他の仲間たちの信頼を得る存在となります。物語の中で彼の成長と仲間たちとの絆は、視覚的にも印象深いものとされています。

ショッカーとの闘い

ショッカーは、この物語の悪役であり、さまざまな改造人間と幹部が登場します。田中一郎やフランツ・フェルディナンドなど、それぞれ個性的なキャラクターが物語を彩り、緊張感を高めています。また、ショッカーの科学者やエージェントたちによる暗躍が物語の根幹をなしており、その陰謀との戦いは本郷たちを試練に導きます。

結論

『仮面ライダー』は、従来の特撮文化を受け継ぎながらも、新たな解釈を見出した作品であり、キャラクターたちの壮絶な戦いと成長を描いています。この小説は、特撮ファンにとって、失われたかもしれない過去の物語に新たな光を当てるものとなっており、今後の展開にも注目が集まります。

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