仲哀峠

仲哀峠（ちゅうあいとうげ）

仲哀峠は、福岡県北東部に位置し、京都郡みやこ町勝山松田と田川郡香春町大字鏡山の間にある国道201号が通過する峠です。この峠は京築地方と筑豊地方を分ける山間を横断する重要なルートで、特にその景観が魅力であり「桜の名所」としても有名です。特に、みやこ町側のトンネルに至る峠道は、つづら折れの道で「七曲峠」とも呼ばれていますが、実際には歴史的に別の地点を指すこともあるため、少々ややこしい歴史を持っています。

地理・交通

由来

峠の名称は、日本武尊の子である仲哀天皇が熊襲征伐のためにこの地を通過したとの伝承に由来しています。特に1890年に開通した仲哀隧道も、地域に伝わる「仲哀天皇平」という名称にちなんでいます。また、「七曲峠」の呼称がされることがあるものの、実際の呼び名は異なる道路に関連しているという指摘もあり、地元の歴史や文化に根ざした奥深い背景を持つ峠です。

仲哀隧道の歴史

明治時代の中頃、田川郡と京都郡の間で新しい道路を建設する計画が持ち上がり、当初は別のルートが考えられていましたが、地形や勾配の関係から仲哀谷を通る現在の経路が選ばれました。この計画は、初代田川郡郡長の熊谷直候が主導し、1884年に工事着手、1889年には全長432メートルの煉瓦造りのトンネルである仲哀隧道が完成しました。このトンネルは、その後1929年に拡幅工事が行われ、現在でも通行できない状態の旧仲哀隧道は、重要な文化財として登録されています。

1963年には、この隧道付近で発生した殺人事件が記憶に残る事件として知られ、同事件を基にした小説や映画も製作されました。このような歴史もあり、仲哀隧道は地域の人々に強く印象付けられています。

現在のトンネル

1967年、仲哀隧道の後に建設された第2代の新仲哀トンネルは全長1220メートル、さらに2007年には第3代の新仲哀トンネルが開通し、1365メートルの長さを持ちます。2022年には道路の拡幅事業が進められ、旧トンネルも活用される形で全体の交通量の増加に対応しようとしています。

現在の状況

冬季には路面の凍結や積雪が発生することがあるため、通行する際には十分な注意が求められます。また、峠を越える交通手段として、行橋市と香春町を結ぶバス路線も運行されています。

仲哀峠周辺には仲哀公園があり、ここは桜の名所として知られています。この公園は、1970年代に旧行橋青年会議所によって桜が植えられたことから始まった地域の社会開発運動の一環として発展しました。現在では、地元住民や観光客に愛されるスポットとなっています。

周辺の観光地

仲哀峠近辺には、味見峠や大坂山、呉ダムなどの自然景観が広がっており、これらの場所も訪れる価値のある観光地となっています。仲哀峠は、その地理的な重要性だけでなく、歴史的、文化的な側面からも非常に興味深い場所であり、訪れる人々に様々な体験を提供しています。

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