伊予宇都宮氏

伊予宇都宮氏の歴史と系譜

伊予宇都宮氏（いようつのみやし）は、愛媛県伊予国大洲を拠点とした豪族であり、その起源は豊前宇都宮氏に遡ります。特に、宇都宮の6代当主である宇都宮頼房の三男、宇都宮豊房によって始まりました。豊房は、伊予守護に任じられ、大洲を本領としました。

彼の父である宇都宮頼房は、下野国の宇都宮二荒山神社から勧請された神社を大洲に造営し、地域住民との結びつきを強めました。豊房の位牌は、伊予宇都宮氏の菩提寺である城願寺に残されています。このことから、伊予宇都宮氏が下野の宇都宮氏と深い関係を有していたことが示されています。

豊房には子がなく、養子として宇都宮泰宗の子孫である貞泰の四男、宗泰が迎えられました。これにより、宗泰が伊予宇都宮氏の後継者となります。貞泰自体は豊前宇都宮氏の本拠地である豊前仲津に移り、嫡子の義綱が豊前宇都宮氏を継いでいます。義綱の子である貞久と貞邦は、筑後宇都宮氏として知られる分家を形成しました。

近年の研究では、宇都宮泰宗が伊予宇都宮氏の祖であるとする説が注目されています。彼の嫡男、宇都宮貞宗が伊予守護に任じられましたが、鎌倉幕府の滅亡によってその職を失いました。その結果、弟の貞泰が頭角を現すことになったと考えられています。ただし、貞宗の守護職は泰宗から引き継がれた可能性もあります。

伊予宇都宮氏は、宗泰以降は大洲を拠点にして戦国時代を迎えましたが、豊綱の時代には毛利氏との抗争に直面します。毛利氏の伊予出兵によって大打撃を受け、大名としての地位が断絶しました。豊綱は小早川氏の監視下で生活し、1585年に死去しました。その跡を継いだ子、豊治は萩野与右衛門と名を変え、小早川隆景と小早川秀包の家臣となりました。

豊房の菩提寺であり、墓所である城願寺は愛媛県大洲市五郎に位置し、臨済宗妙心寺派に属しています。彼の戒名は「城願寺殿継將萬真大居士」とされています。

興味深いことに、現代の苗字統計では、「宇都宮」という名字が最も多く見られる都道府県が愛媛県であるというデータもあります（2014年9月現在）。

歴代当主

• - 宇都宮豊房（初代、宇都宮冬綱の弟）
• - 宇都宮宗泰（第2代、宇都宮貞泰の四男）
• - 宇都宮泰輔（第3代）
• - 宇都宮家綱（第4代）
• - 宇都宮安綱（第5代）
• - 宇都宮宣綱（第6代）
• - 宇都宮清綱（第7代）
• - 宇都宮豊綱（第8代）

このように伊予宇都宮氏は、豊前宇都宮氏との血脈や関係性を背景にしながら、日本の歴史の中で重要な役割を果たしてきた豪族です。

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