宇都宮豊綱

宇都宮豊綱（うつのみやとよつな）

生涯

宇都宮豊綱は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、伊予国の戦国大名です。伊予宇都宮氏の最後の当主であり、大洲城主として知られています。永正16年（1519年）に、宇都宮清綱の子として誕生しました。

伊予宇都宮氏は、下野宇都宮氏と同族であり、宇都宮氏の分家の一つとして伊予の喜多郡に勢力を築いていました。当時の伊予国内は、道後方面を支配する守護の河野氏、宇和郡の伊予西園寺氏が割拠しており、宇都宮氏はこれらの勢力に挟まれる位置にありました。さらに、国外からも土佐国の土佐一条氏、豊後国の大友氏、中国地方の大内氏、後に毛利氏といった諸勢力が伊予への関与を深めており、複雑な情勢下で豊綱は戦国大名として生きることになります。

大内氏と大友氏が対立した際には、豊綱は河野氏と協力して大友氏に味方し、反大内氏の立場を取りました。しかし、その後、大内氏と大友氏が和睦すると、宇都宮氏は大内氏、大友氏の勢力下に入りました。永禄6年（1563年）頃、豊綱は幕府に遠江守への任官を希望しましたが、河野氏の妨害により幕府の合意を得ることができませんでした。そのため、豊綱は幕府を通さずに公家に働きかけ、朝廷に直接働きかけることで任官に成功しました。これは、当時の武家社会において異例の行動であり、豊綱の強い意志を示すものと言えるでしょう。

伊予西園寺氏との戦いでは、西園寺実充の子である公高を討ち取るという武勇を示しました。その後、姻戚関係にあった一条氏と結び、河野氏と対立しました。しかし、永禄11年（1568年）には毛利氏の援軍を得た河野氏との鳥坂峠の合戦で大敗を喫し、その後、毛利方に捕らえられました。その後の動向については詳しい記録は残されていません。天正13年（1585年）に備後国で病死したと伝えられており、位牌は清源寺に祀られています。

宇都宮豊綱は、激動の戦国時代を生き抜いた武将であり、伊予宇都宮氏の最後の当主として、その名を歴史に刻みました。その生涯は、周辺の大名家との複雑な関係や、自身の強い意志によって彩られており、後世に多くの教訓と興味を与えています。

脚注

* 清源寺に位牌が祀られている。

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