伊予鉄道800系電車

伊予鉄道800系電車について

伊予鉄道800系電車は、伊予鉄道の鉄道線用として使用されていた通勤形電車です。このシリーズは、1984年から1985年の間に京王帝都電鉄（現在の京王電鉄）から購入され、京王重機整備によって整備され、改造を経て運行され始めました。また、本系列の一部は銚子電気鉄道の2000形電車に改造され、再利用されています。

概要

伊予鉄道800系の編成は、モハ820形 (Mc)、クハ850形 (Tc)、モハ810形 (Mc) の3両から構成されていました。京王から伊予鉄道への譲渡に際しては、異なる軌間（京王が1372mm、伊予鉄道が1067mm）への対応が必要でした。そのため、廃車となった京王井の頭線用の初代1000系から台車や主電動機を移植し、軌間変更に適応させて使用されました。これは京王重機整備による中古車両の改造・譲渡として初めての事例となりました。

中でもモハ815は、1961年に製造された京王2010系の中期車グループに属し、冷房改造前の屋上通風器の形状や配置が他の同系車両と異なっていたため、視認性に富んでいました。その後、外観は他の車両と大きな違いは見られませんでした。

京王時代には、8個の主電動機を1つの主制御器で制御する1C8M制御方式が用いられていましたが、運用の変更に伴い750V用の降圧を行い制御装置を追加し、1C4M制御に変更されました。また、発電ブレーキも導入されていましたが、その衝撃が強すぎたため、後に使用が中止されました。最初の投入時には冷房装置は搭載されていなかったものの、後に集約分散型の三菱電機CU127-R冷房装置を設置しました。

1994年ごろには先頭車両に「今年も涼しい冷房電車増車」というマークが掲示されていた時期もあり、乗客にとっては好評を博していました。

車両の改造と運用

入線当初はモハ820、サハ850、モハ810の3両編成が主に運用されていましたが、1993年から1994年にかけて運用効率を向上させるため、サハ850形に貫通型運転台が付設される改造が行われました。この改造により、モハ810形を外した2両編成での運用も可能となり、車両の活用の幅が広がりました。新たに設置された運転台は、旧京王5000系に似た形状を持っていますが、800系の車体は直線的なデザインであり、独自の外観を形成しています。

この改造作業と併せて、ATS（自動列車停止装置）取り付けの改造も行われました。そして、側面には700系と同じ行先表示器が設置されるなど、運用の利便性が高められました。1995年からは610系に合わせた新しい塗装への変更が始まり、1996年にはその作業が完了しています。

運用終了と譲渡

伊予鉄道では、2009年度から2011年度にかけて、郊外線向けの新型車両3000系を導入しました。その結果、800系は替わる形で全廃されることが決定され、2010年7月25日に行われた「さよなら運転」をもって運用を終了しました。

この中から2編成、すなわちモハ822-クハ852とモハ823-クハ853の4両が銚子電気鉄道に譲渡され、同社の2000形電車（デハ2000形・クハ2500形）として生まれ変わりました。譲渡後の車内はバリアフリー化が進められ、一部座席が撤去され、さらにワンマン運転も行えるように改造されました。担当スタッフによると、デハ2000形の前面には方向板受けも設置される予定でしたが、最終的には運行を2010年7月24日から開始することとなりました。

このように、伊予鉄道800系電車は時代の流れに応じて様々な改造を受け、別の鉄道会社で再びその姿を変えながら、大きな役割を果たしてきました。

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