伊予鉄道DB-1形ディーゼル機関車

伊予鉄道DB-1形ディーゼル機関車

概要

伊予鉄道DB-1形ディーゼル機関車は、1953年に伊予鉄道で導入された日本初のディーゼル機関車です。当初は蒸気機関車から流用された部品を使用して製造されましたが、後に新たに設計された機体や装置に改造されることで、同形式の低出力の改善を図りました。伊予鉄道は、この機関車から収集したデータを元に、同線に必要なさらなるディーゼル機関車の導入を決定しました。

1950年代初め、戦後の影響で燃料費が高騰し、伊予鉄道の蒸気機関車は運行を困難にしていました。特に郡中線においては電化工事が実施されたとはいえ、他の路線の蒸気機関車の老朽化は大きな問題となり、代替手段が急務と見なされました。そこで、ディーゼル燃料の入手が容易になったことから、横河原線や森松線の内燃動力への転換が検討されました。

DB-1の製造と特徴

DB-1は、当時大阪の森製作所で製造されることになり、既存の蒸気機関車から流用した部品で構成されました。竣工後の約半年間は燃費や修理費用に関する徹底した性能テストが実施され、その結果により伊予鉄道は6両の新たなディーゼル機関車を導入する決定を下しました。これにより、蒸気機関車が全て内燃動力に置き換えられることとなりました。

DB-1はそのままでは機関や車体にいくつかの欠点があったため、1954年に新三菱重工業三原製作所において改造が行われました。この改造により、DB-2からDB-8までの新型機とほぼ同じ仕様に仕上げられました。

DB-1の車体と機器

DB-1の車体は、当初は角張った凸形デザインでしたが、改造後は新三菱重工業のスタンダードデザインに基づいた形状に変わりました。運転台の出入り口も側面に設けられ、利便性が向上しました。この機関車は、日野ヂーゼル工業製のバス用機関を搭載していましたが、横河原線における運用で出力不足が指摘されたため、DL10に換装されることになりました。

DB-2からDB-8へ

DB-1の性能が確認された後、1953年から1954年にかけて、DB-2からDB-8までの6両が順次製造されました。これらの機関車は、DB-1と同様に日野ヂーゼル工業製のDL10を搭載し、より適切な性能を持つように設計されています。なお、これら新造車両は、最初は寒冷地での運用を考慮して特殊な始動システムを採用しましたが、DB-2以降は通常のセルモーターによる直接始動方式が採用されました。

運用と廃車

DB-1は横河原・森松線で運用され、多客時には重連で客車を牽引しました。しかし、1965年には森松線が廃止され、DB-1は余剰となりました。同年、1954年の横河原線全線電化完成とともに、残るDB-2からDB-8も不要となり、すべて廃車処分となりました。

その後、DB-4からDB-8は解体されたのに対し、DB-2は改番されて特定の編成として保存されました。DB-3は他販され、入れ替え機として使用されていましたが、これらの車両も1980年代までに消えました。現在、DB-1形ディーゼル機関車は現存しないため、その歴史は貴重な資料となっています。

もう一度検索