伊予銀行硬式野球部

伊予銀行硬式野球部は、愛媛県松山市に拠点を置いて活動していた社会人野球の企業チームです。地方銀行である伊予銀行を運営母体とし、日本野球連盟に加盟していました。

概要

伊予銀行における野球部の活動は、当初は準硬式野球として行われていました。しかし、社会人野球の本格化に伴い、1952年には硬式野球への転向が図られ、「伊予銀行硬式野球部」として新たに創部されました。以後、四国地区の社会人野球界で活動を展開しました。

チームは着実に実力をつけ、全国の舞台に挑戦する機会を得ました。1973年には、社会人野球チームにとって最大の目標である都市対抗野球大会に初めて出場を果たしました。さらに、1975年には、社会人野球日本選手権大会にも初出場を果たし、全国大会への出場実績を重ねました。

特筆すべき出来事として、1976年の都市対抗野球大会への出場決定が挙げられます。チームは予選を突破し本大会への出場権を得ていましたが、大会開幕直前の同年7月15日、予期せぬ行内の事情により、やむなく本大会への出場を辞退するという異例の事態が発生しました。日本野球連盟は代替チームの選出が時間的に困難であると判断し、この年の都市対抗野球は、本来の32チームではなく、31チームで開催されることになりました。

チームの歴史は長くは続きませんでした。1970年代後半に入ると、愛媛県下の経済環境が厳しさを増し、企業のスポーツ活動を取り巻く状況も変化していきました。このような背景の下、伊予銀行硬式野球部は、同じく松山市を拠点として活動していた愛媛相互銀行硬式野球部と時を同じくして、活動継続が困難になったと判断されました。そして、1978年2月、両チームは相次いで活動の休止（実質的な解散）を発表し、伊予銀行硬式野球部の26年にわたる歴史に幕が下ろされました。

沿革

1952年：伊予銀行により、準硬式から硬式に転向する形で創部。愛媛県松山市を拠点とする。
1973年：都市対抗野球大会に初出場（1回戦敗退）。
1975年：社会人野球日本選手権大会に初出場（2回戦敗退）。
1976年：行内事情により、都市対抗野球への出場を辞退。
1978年2月：愛媛相互銀行と共に、活動休止を発表。

主要大会出場歴・最高成績

都市対抗野球大会：出場1回
社会人野球日本選手権大会：出場1回（最高成績は2回戦進出）

主な出身プロ野球選手

西田 孝之（外野手）：1962年に大毎オリオンズへ入団。

伊予銀行硬式野球部は短命に終わったものの、愛媛県の社会人野球の発展に貢献し、全国大会にも出場するなど、その活動は地域における野球振興の一端を担いました。

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