伊保村 (兵庫県)

伊保村：播磨灘に臨む村の興亡と伊藤家の足跡

兵庫県高砂市の中核を成す地域、かつて伊保村が存在していました。この記事では、伊保村の地理、歴史、そして村を代表する伊藤家の物語を紹介します。

豊かな自然と歴史の息づく地

伊保村は、播磨灘の穏やかな波と、竜山などの自然に囲まれた村でした。法華山谷川や松村川といった河川が流れ、豊かな水資源に恵まれていました。現在の高砂市の中部、山陽電気鉄道伊保駅周辺からアスパ高砂、法華山谷川と鹿嶋神社の筋の松村川付近までの範囲に相当します。

明治期の誕生と昭和期の消滅

伊保村は、明治22年（1889年）に、町村制の施行に伴い、伊保崎村、梅井村、今市村、中島村、中筋村が合併して誕生しました。その後、昭和29年（1954年）、曽根町、加古郡高砂町、荒井村と合併し、高砂市となり、伊保村は歴史の幕を閉じました。山陽新幹線が現在では旧村域を通過していますが、伊保村が存在した当時はまだ開通していませんでした。

伊藤家：大地主から文化人へ

伊保村の歴史において、伊藤家は重要な役割を果たしました。初代から大地主として名を知られた伊藤家は、代々村の発展に貢献しました。

4代目当主は、農家の傍ら米穀肥料販売を行い、後に商売で成功。土地を買い集め、大地主となりました。県会議員や伊保村村長も務め、地域社会に貢献しました。5代目当主は、旧制姫路中学校や顕道学校を経て上京し、国民英学会や日本法律学校で学びました。帰郷後は家督を継ぎ、兵庫県農会長などの要職を務め、多額納税者として貴族院議員にも選ばれました。1924年には兵庫県内最大の地主となり、阪神財閥の一角を担うまでになったのです。

5代目当主の弟である伊藤長蔵は、貿易商であり、出版人としても知られています。神戸高等商業学校卒業後、イギリスでゴルフに親しみ、帰国後は日本で最初のゴルフ雑誌を創刊。ゴルフの普及に貢献しました。さらに、愛書家の集まり「グロリアソサエティ」を創設し、「ぐろりあ・そさえて」という出版社を設立、個性豊かな書籍を世に送り出しました。

まとめ

伊保村は、自然豊かな環境と、伊藤家をはじめとする人々の努力によって発展を遂げた村でした。その歴史は、高砂市の発展の礎となっています。伊藤家兄弟の活躍は、地域社会への貢献だけでなく、文化面での貢献も示しており、伊保村の歴史を語る上で欠かせない存在です。短い期間ではありましたが、伊保村は高砂市の歴史に重要な一ページを刻み込みました。 彼らの業績は、現代においても人々の記憶に刻まれています。

もう一度検索