伊勢丹府中店

伊勢丹府中店の概要

伊勢丹府中店（いせたんふちゅうてん）は、かつて東京都府中市に位置していた百貨店で、三越伊勢丹が運営していました。この店舗は、京王線府中駅に近い再開発ビル「フォレストサイドビル」の核テナントとして、1996年4月3日に開業し、2019年9月30日に閉店しました。後に、その跡地にはノジマが運営するショッピングセンター「ミッテン府中」が開業しました。

開業と期間

伊勢丹府中店は、府中駅南口の第二地区市街地再開発プロジェクトの中心的なテナントとして誘致されました。この再開発は、約547億円の総事業費で行われ、店舗面積は約3万2000平方メートルに及びました。近隣には、13階建ての明治生命府中ビルも併設されました。

この百貨店は府中市内初の百貨店であり、多摩地域の中でも最大級の存在として注目されたのです。地域内にはすでに京王沿線の他の百貨店も存在し、1980年代から1990年代にかけて親しまれていました。

再開発と変遷

2016年には、開店20周年を迎えるにあたり、地下1階の食品フロアがリモデルオープンしました。新たにクイーンズ伊勢丹グランデが出店したことで注目を集めました。また、2017年には「武蔵府中ル・シーニュ」がオープンし、府中駅の周辺の商業施設が充実していく様子が見られました。

ただし、2018年9月には三越伊勢丹ホールディングスが業績不振を理由に伊勢丹府中店の閉店を決定しました。この年の売上は139億円と、初年度の261億円から半減していました。業態の変化や競合の激化が撤退の主な理由として挙げられています。

閉店セールと最終日

閉店に伴い、2019年7月17日から「伊勢丹府中店ご愛顧感謝ファイナルフェスタ」が開催されました。正面玄関には府中市のシンボルであるケヤキをモチーフにしたモニュメントが設置され、訪れた客からのメッセージが短冊に書かれて飾られました。最終営業日となる9月30日には、多くの客が集まり、店舗が閉店する瞬間を見届ける姿が見られました。

店長は閉店セレモニーの中で、伊勢丹府中店が23年間に渡って地域に貢献したことを振り返り、感謝の言葉を述べました。その後、店舗ののれんが外されると、訪れた客たちから大きな拍手が湧き起こりました。

今後の展開

伊勢丹府中店の閉店後、専門店街「フォーリス」は引き続き営業を続けました。同年6月にはノジマが旧伊勢丹府中店の床部分を賃借し、「ミッテン府中」として新たなショッピングセンターが開業し、多くの専門店が入居する形となりました。

伊勢丹府中店の歴史は、地方の百貨店が直面する厳しい経営環境を象徴するものであり、閉店は地域にとっても大きな出来事でありました。府中市は東京に近いにもかかわらず、競合の激化に伴う商業のダイナミクスを強く影響を受けていることを改めて示しました。

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