伊木忠貞

伊木忠貞の生涯と業績

伊木忠貞（1612年 - 1672年）は、岡山藩池田宗家の初代筆頭家老であり、伊木家の第3代当主です。彼は、主君である池田光政のもとで活躍し、その影響力は藩政において重要なものでした。忠貞は、慶長17年に姫路で誕生し、幼名は三十郎と呼ばれていました。

若き日の忠貞

忠貞の父、伊木忠繁が1616年に死去したため、5歳という幼少の頃に家督を継ぎました。1618年には父の家計が移転する際、鳥取に赴任し、3万3千石の知行地を与えられました。伊木三十郎は、藩主池田幸隆（後の光政）とも関係が深く、1617年には幸隆が幼少のため転封を命じられ、その後の岡山藩の発展に貢献しました。

国替えと家族

寛永3年（1626年）に三十郎は元服し、長門守忠貞と名乗るようになります。この時、従五位下を拝任し、池田家の家老としての地位を確立しました。また、池田忠雄の家老である荒尾成利の娘との婚姻により、家族関係も強化されました。

その後、寛永9年（1632年）には岡山藩主・池田忠雄が死去し、そのため息子の光仲が幼少であったため、鳥取への転封が命じられました。忠貞は引き続き、虫明に陣屋を構え、再び3万3千石を受けることとなります。虫明での彼は「千力様」とも呼ばれ、その怪力が親しまれていました。

戦乱の時代

寛永14年（1637年）には、島原の乱が発生し、忠貞は藩内に臨戦態勢を指示しました。出陣の途中では、松平信綱を迎え入れ、藩の防衛を強化するために尽力しました。こうした彼の姿勢が、岡山藩の安定につながったと言えるでしょう。

晩年と死去

忠貞は慶安4年（1650年）に従五位に昇進し、万治3年（1660年）には藩主光政が虫明陣屋を訪問しました。1722年、忠貞は江戸から岡山への帰路に着く際、武蔵国川崎宿で急死し、享年61歳を迎えました。彼の死後、側室との間に生まれた忠親が家督を継ぎましたが、その前に正室との間に設けた6男5女はほとんどが早世してしまったため、家系の存続が危ぶまれました。

師範としての評価や、忠貞の法名「興禅院殿前長州瑞岩道雲大居士」が示す通り、彼は宗教と武士道の両方に深い理解を持つ人物でありました。彼の墓所は、岡山県の千力山にあります。この山の名は、忠貞が「千力様」と呼ばれていたことに由来しています。

参考文献

• - 桂又三郎『茶人伊木三猿斎』 奥山書店、1976年
• - 邑久町郷土史クラブ編『備前藩筆頭家老伊木氏と虫明』1996年

外部リンク

• - 伊木長門守忠貞（おかやま人物往来） - 岡山県立図書館

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