伊木家

伊木家：織田信長から明治への軌跡

伊木家は、長い歴史を持つ武家・華族です。その起源は相模国の豪族・鎌倉氏に遡り、橘氏の末裔であると伝えられています。平氏から橘氏への改姓を経て、若狭守護武田氏に仕えた後、織田氏に仕えることになります。

織田信長への仕えと池田氏への転身

戦国時代、尾張国に住まい、香川氏を称していた伊木家当主・香川長兵衛忠次は、織田信長の台頭に伴い、彼に仕えることとなります。永禄4年（1561年）、斎藤氏との戦いで美濃国の伊木山城攻めに参加し、その武功から信長より伊木という苗字を与えられました。その後、織田氏の重臣・池田恒興の配下となり、池田氏の家臣として仕えることになります。

池田輝政が三河国吉田城に入封すると、忠次は渥美郡に所領を与えられ、田原城を本拠としました。この時、田原城の修築も行ったとされています。関ヶ原の戦い後、輝政が姫路藩52万石に転封されると、忠次は加増され、慶長6年（1601年）には三木城3万7千石を与えられました。さらに慶長8年（1603年）には橘姓を下賜され、従五位下・豊後守に叙任されています。

姫路城の改修と岡山藩筆頭家老

2代当主・忠繁は、姫路城の大改修における普請奉行を務め、現在に見られる姫路城の完成に貢献しました。3代当主・忠貞は、主君に従い、姫路藩、鳥取藩、そして岡山藩へと転封しました。岡山藩では、寛永16年（1639年）、邑久郡、上道郡、津高郡などに3万3000石の広大な所領を与えられ、岡山藩の筆頭家老として、虫明に陣屋（「お茶屋」と称した）を構えました。

幕末から明治への移行と華族への列せられる

幕末の14代当主・忠澄は、茶人としても知られ、隠居後は三猿斎と号しました。茶室を構え、京都の陶工を招いて虫明焼を興隆させました。明治維新後、岡山藩知事となった池田章政の下、岡山藩大参事となりました。明治14年（1881年）に従六位を叙任され、明治39年（1906年）、忠澄の孫・忠愛は男爵位に叙せられ、華族に列せられました。

伊木家の文化遺産

伊木家の墓所は、瀬戸内市と岡山市に存在します。瀬戸内市の墓所は、重要文化財に指定されており、歴代当主の墓が石塀や土塀で囲まれています。また、伊木家の武家屋敷門は、世田谷区に保存されており、指定有形文化財となっています。この門は、岡山にあった屋敷から移築されたものです。

まとめ

伊木家は、戦国時代から明治時代にかけて、主君に仕えながら、独自の文化を築き上げた家系です。その歴史は、織田信長、池田氏との関わり、姫路城の改修、岡山藩での活躍、そして茶道文化など、多岐に渡り、日本の歴史に重要な足跡を残しました。彼らの功績と残された文化遺産は、現代においても貴重な歴史的資源として高く評価されています。 伊木家の歴史を紐解くことで、日本の歴史の一端を垣間見ることができるでしょう。

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